昨夜、夕食の準備をしようと台所に立って

 冷凍のハンバーグを冷凍庫から出そうとした時

 スマホが鳴って、見ると昔の仕事仲間の

 50代男性W君からで

 「今、Hさんちの近くに来ていて

  よかったら夕食一緒に食べませんか?」

 そんな誘いだった。

 

 いつもなら、男性からの急なお誘いは

 間違いなくお断りするのだが、

 冷凍ハンバーグが解凍前だったし

 ハンバーグっていう気分でもなかったので

 言われるがまま、駅近くの居酒屋へ出掛けた。

 

 日曜日の夜だからだろう、その小さな居酒屋は

 客もそんなに多くなく、夕食代わりのつまみを頼み

 W君の話を聞きながら、周囲を眺めていたら

 窓際の席に興味をそそるような2人がいることに

 気がついた。

 

 男性はサラリーマン風で、年齢は多分50代中頃、

 女性の方は40代後半に見えるカップルだ。

 

 まず、何に興味を引かれたかと言えば

 女性は彼に熱い視線を向けながら

 何やら真剣に話しているのに

 男の方は窓の外を見つめて

 たまに頷くような感じで

 2人の愛情に大きな差を感じたからだ。

 

 会話は全く聞こえない距離だから

 2人の表情と仕草から、

 全くの思い込みで恐縮だが

 久々の妄想劇場が頭の中で始まった。

 

 まず男性は妻子持ち

 女性はバツイチの独身で一人暮らしだ。

 

 男性は、日曜日、いつものように

 スポーツクラブに出かけると言って

 家を出て、午後に彼女のマンションを訪ねる。

 まあ、そこでお約束のベットの上での

 柔軟体操と、ちょっと激しい繰り返しの

 無酸素運動を繰り広げ、いつもの愛の作業を

 一通りこなして、夕方にいつものように

 家路につこうとした。

 するといつもはドア越しに「またね」と

 言うはずの彼女が別れを惜しむように

 「夕食を一緒に食べたい」って言い出して。

 

 でも家には夕食が用意されている男性は

 ちょっと困ったが

 彼女の熱心な誘いを断りきれず

 駅近くでちょい飲みぐらいならと

 居酒屋へ入ったというわけだ。

 

 しかし、夕食を一緒に食べたいという

 彼女の本当の気持ちは違っていて

 実はお酒の力を借りて、

 彼の自分への気持ちを確かめることだった。

 「これからの私たちはどうなるの?」

 「貴方にとって私の存在はなんなの?」

 なんて話し始めて、

 でも彼は、その質問にちゃんと答えられない、

 だって今のままが都合がいいから。

 仕方なく窓の外を見つめ

 こんな話が一刻も早く終わることを願ってた。

 だから彼の返事は素っ気なく、愛がないように

 ボクには見えたわけだ。

 

 このカップル、残念ながら別れは近いな

 なんて思ったその瞬間だ

 「Hさん僕の話聞いてますか?」

 なんて声がしたのだ、

 そうかw君が居たの忘れてた、ゴメン。