昼、近所のいつもの食堂で

 カキフライ定食を食べてたら

 食堂の奥さんが

 「Hさんちの近くにバーが開店したでしょ 

  もう行きました?」と聞かれたので

 「まだ行ってないけど」と答えたら

 「お母さんと娘さんの二人で

  やってるらしいですよ。

  ちょっと行ってみて感想聞かせて

  くださいよ」なんて言ったので

 昨夜、早速行ってみた。

 

 ドアを開けると、薄暗い店内の

 カウンターの中に女性が一人。

 客は誰もいなかった。

 女性は一見年齢不詳で、

 この女性が食堂の奥さんが言ってた

 お母さんなのか娘なのか

 判断がつかないまま、メニューを見て

 ハイボールを頼んだ。

 

 最初なので営業時間とか定休日とか

 無難な質問をする。そして

 その反応を見ながら次の質問に移っていく。

 「今は母がランチ営業をやって

  私が夜、お酒を出してるんです・・・」

 なんて話し始めた。

 それで分かった。

 この女性が娘さんなんだなって。そして

 「母がこの店の上の2階で、私と主人が

  3階で住んでるんです。私はこういう店

  初めてで、全くの素人なんです。だから

  わからないことばかりで」と言った。

 

 どうりで、夜の店で働く女性が

 持っている妖しい色気が全くないし

 男心を揺らすような仕草や言葉もない。

 さらにご主人の仕事の話なんかを

 長々としたりして、そんな話を聞いて

 夜に酒を飲む男性客が

 喜ぶわけがないのに。

 

 でも、その旦那の話の中で

 「私も今年40の大台に乗って・・・」

 って、言ったからとても驚いた。

 ここだけの話、

 どう見ても50歳以下には

 見えなかったから。

 

 ボクがいつもここで書いているでしょ、

 <恋する女性は肌も心も

 若々しくて潤い濡れて

 男を惑わす色気が溢れる>って。

 

 この女性が老けて見えるのは

 きっとそういうことなのだ。

 

 だから次にこの店に来た時は

 旦那との悲惨な不仲話と

 疲れ切った人生話を

 聞かされるに違いない。