飲み友達の42歳独身、ちょっぴりモテ男のT君が酔っ払って
 「あの店の、可愛くて色っぽい、ほらあのF子ちゃん知ってるでしょ。
  彼女と食事の約束してね、今日連絡くれるって言ったのに、
  忘れちゃったのかな・・・」と、スマホを見つめながら言った。
 
 「T君、知ってるじゃない。彼女はみんなと約束するの。
  でもさ、一緒に食事に行ったっていう男はいないんだから。
  だから人気なの。今更何言ってんの」と、たしなめた。するとT君
 「そんなこと知ってるけど、僕にはちょっと違うと思ってたんだけどなあ・・・」と
  寂しそうにポツリとつぶやいた。
 
 結構モテ男の経験豊富なT君でも、
 百戦錬磨の女性の甘いささやきには、騙されちゃうのか・・・、
 なんて思いながら、励ましの意味も込めて
 「じゃあ、今からF子ちゃんの店、行こうか」と誘ったら、T君は急に元気になって
 「よ~し、レッツゴー」なんて嬉しそうに大声で叫んだ。

 そしてF子ちゃんの居る店へ行くと、T君はなぜか大人しく飲み始めた。
 するとF子ちゃんがボクの前に立ち、目をじっと見つめて言った
 「Hさん本当に久しぶりです。全然お見えにならないから、心配してたんですよ。
  病気してるんじゃないかとか、怪我したんじゃないかとか。
  電話してみようか、なんて思ったこともあったんです。
  Hさん一人暮らしだから。でもよかった、お元気そうで・・・」

 その言葉を聞いた途端、なぜかボクの胸がキュンと熱くなった。

 男ってホントにおバカさん。