久しぶりに会った知り合い男性M君を見て驚いた。
 口の中で風船ガムを膨らませているようなオタフクみたいな頬。
 ウエスト部分に大きなビーチボールを隠し持ってるようなパンパンな腹。
 そこで
 「いや~、ちょっと見ないうちに大きくなったね、もう臨月?」と声をかけた。
 「全く相変わらず口が悪いな、そんなわけないでしょ・・・」と
 笑いながら答えたM君、なぜこんな腹になってしまったのか、
 その苛酷な物語を語り出した。

 子供が生まれて、女房の買い物が大変だということで、
 僕の提案で食材の宅配を頼むようになったんですよ。
 すると毎週女房が嬉しそうに「来週は何食べたい?、デザートはどうする?」
 なんて聞くので、いろいろ答えるわけですよ。
 買い物は註文書に印をつけるだけだから簡単、
 それに自分で持ち運びをしないから、気軽にいろいろ頼んじゃうわけ。

 それからですよ水曜、木曜は凄い数と量のオカズが
 食卓に並ぶようになったんです。さらにデザートも大量に。
 それは注文した食材が毎週金曜日に届くわけですが、
 それまでに冷蔵庫を空にしなきゃっていうことで、そうなっちゃう。

 それに僕は女房が作ってくれたものを残すことなんて、絶対できないですから。
 結果こうなっちゃったわけですよ。
 そう言ってM君は太鼓のような腹をパンパンと叩いた。
 そしてボクを見て
 「そうだHさん、来週から木曜日はうちに食事しにきませんか」と
 真面目な顔で誘ってきた。

 そこで答えた
 「ハゲてるだけでも女子が振り向いてくれないのに、
  それにデブが加わったらどうなると思う。
  そんな寂しい余生は送りたくないから。ボクは行かない」と
 丁重にお断りした。