ある店で、ボクと同年代の還暦オヤジが恋の悩みを告白し始めた。
 彼は20代の頃に親戚の紹介で一度結婚したが、
 奥さんが数ヶ月で家出したことで離婚。それ以来独身で一人暮らしだ。

 その彼、ここ数年は職場近くの喫茶店で、
 毎朝モーニングサービスを食べてから出勤してるという。
 
 その喫茶店で、4ヶ月ほど前からウェイトレスとして働き始めた若い女性に、
 恋をしてしまったというのだ。
 「よく気が付くし、いろいろ声をかけてくれるし、何しろ笑顔が可愛いんだ」
 と、話す彼の表情はもう夢見心地。そして
 「誘ってみたいんだけど、どう思う?」と、そこに居た男達に聞いた。

 40代妻子あり男子は
 「そりゃ誘うべきだよ。それで想いを打ち明けて、
 とりあえずスッキリして、次の道を考えようよ」と、すでに断られる前提で話してる。
 次いで言葉を発したのは、52歳生涯独身男
 「きれいな夢で終わらせた方がいい。告白してあっさりフラレたら
 次の日からどうすんの。その喫茶店にも行けなくなっちゃうよ」
 そこで一番若い、30代独身男子が言った
 「いや、絶対言った方がいい。だってさ、オジさんは若くないんだから
  あと何年生きれるか分かんないでしょ」と。

 その言葉を聞いて、相談者のオジさんの表情が一瞬暗くなったのだが、
 同時に、横に居たボクの心も一気に落ち込んだ。