ショットバーで、カウンターに座っていた30代の男性が暗い顔でマスターと話していた。
 
 「先週彼女と別れたんですよ」
 「え~、まだ付き合い始めて3ヶ月経ってないよな」
 「そうですよ。2ヶ月ちょっとです」
 「どうして?、理由は?」
 「彼女がね、やっぱり今仕事に集中したいって言って、それでこれ以上付き合うと、みんな中途半端になっちゃうからって・・・」

 その言葉を横で聞いていて、彼を振った女性は優しい嘘が付ける人だなと、ボクは思った。

 「嘘をつかない人間はいない」といわれるけど・・・、
 それはその通りで、人間として生活していれば意識的にせよ、無意識的にせよ、また悪意のあるなしにかかわらず、人間関係をギクシャクさせねいために、こういう嘘をつかなくてはならない場面は必ずある。

 そんなことを考えていたら、その振られた男性が酔っぱらってボクに近寄りながら
 「先輩から見て、僕ってやっぱりモテない感じですか?」と聞いてきた。

 そこでボクは
 「いや~、キミはモテると思うよ。ボクが女だったらきっと、キミの素朴で素直な性格にイチコロだと思うけどなあ」
 なんて、愛も優しさもない、いい加減な嘘を言ってしまった。
 ゴメンね!。