「今年、まだ恋愛話がないじゃない? だから面白くない」
 ある人からそんな指摘を受けた。というわけでボクの悲恋話を1つ。

 5年程前、友人達と行った旅先で、女性の居る飲み屋さんへ行った。
 
 店内に入り、席へ案内されている時、あるホステスさんが、ボクをじっと見つめているのに気が付いた。そして、ボク等のグループが席に着くと、その娘を含め、3人の女性がボク等の席に来た。
 乾杯も終わり女性たちの自己紹介が済んだ時、ボクを見つめていたその女性が、無理矢理にボクの隣に座り、ボクを見つめて嬉しそうに言った。
 「こちらの方、私の大好きな人にそっくりなんです」と。
 
 友人達は大声でボクを冷やかしたが、それ以上にボクはドキドキし、緊張し、さらに妄想が真夏の入道雲のようにモクモクと膨み、今夜はいったいどうなるんだ・・・、なんて心配までし始めた。 
 
 その後周りは、ボクが誰に似てるかの話題で大盛り上がり、
 
 「もしかして初恋の人に似てるの?」
 「初恋の人って、こんなに髪がなかったの?」
 「あ~分かった、高校時代の憧れの先生でしょ?」
 なんていろいろな質問が飛び交った。

 そこで彼女が言った。
 「ヒント、とても他人のような気がしない人」
 するとみんなが納得したように、
 「そうか、お父さんに似てるってことね」と声を合わせて言ったら、微笑みながら彼女が答えた
 
 「違います、去年85歳で亡くなったオジイちゃんにソックリなんです」と。
イメージ 1