「♬あなたのためにすることが一日ごとに増えました。まるで自分がないように・・・」
 ラジオから女性の切ない心を唄う、古い歌謡曲が流れて来た。

 考えて見ると昔は、一途に恋する女心を唄う歌が、たくさんあったような気がする。

 「♬着てはもらえぬセーターを 涙こらえて編んでます・・・」
 「♬あなたのために守り通したおんなの操 今更他人に捧げられないわ・・・」
 「♬誰かに盗られるくらいなら あなたを殺していいですか・・・」

 昭和という時代には、こんな風に一途に男を愛する女性が、数多く存在していたのだろうか?
 それとも、こんな風に愛されてみたいという男性の密かな願望を、歌に託したということなのか? 

 こんなにも激しく女性に愛されたという経験が、残念ながら一度も無いボクだから、そんな疑問に対してコメントのしようもない。
 
 そこで現実生活で振り返ってみると・・・、
 結婚以来、奥さんがボクのためにしてくれることは、この30数年で、おおよそ1/10ほどになったような気がする。
 そのかわりに、ボクが奥さんのためにしなければならなくなったことは、間違いなく一日ごとに増えている。
 
 今後はボクみたいに、奥さんに上手に躾けられてしまった切ない男の歌が、流行るようになるかもしれないなあ・・・。