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 「ここにある本、全部読んだんですか?」
 今まで何度、そんな質問をされたろうか。
 ブックカフェなんていう店をやってるんだから、きっとこのマスターは凄い読書家に違いない。
 皆そう思って聞いて来るわけだが、実際はそうでもない。
 
 本を読むのは勿論嫌いじゃない。でも「夜遊びと読書とどっちが好きか?」と問われれば即座に「夜遊び」と答えるし「運動と読書ではどっち?」と聞かれたら、迷わず「運動」と答える。

 だからこれまでの暮らしを思い出してみると、好きなことの合間や移動時間には必ず本を読んでいたが、本を読むということがボクの余暇生活の中心になったことはないのだ。

 というわけで、ボクは本物の読書家ではない。

 学生の頃、この人は凄い読書家だと思った人が二人いる。
 
 一人は大学教授を裏口入学斡旋で首になった人なのだが、その教授の部屋へ行くといつも例外なく、お酒を片手に本を読んでいて「この世に本と酒があればあとは何もいらない。だから裏口入学でもらった金も全部本と酒になった」と言っていた。
 その先生は残念ながら60代で、アル中の治療中に亡くなった。
 
 もう一人はある雑誌の副編集長で口癖は「僕は本を週に5冊ずつ読んでいるけど、その計算だと死ぬまでにあと○○冊しか読めないんだよ。それが悔しい」だった。

 その彼が、ある日からボクに毎週本を届けてくれて「感想を聞かせて」と言うようになった。そのおかげでボクは随分と読書の幅も広がり、感想を話すことで新しい読書の楽しみも知った。

 しかしある日、その彼の奥さんから
「彼の日記に、あなたのことが好きと書いてあったの」と言われ、天地がひっくりかえるほどビックリしたのだ。そんな彼も、50代でこの世を去った。

 そんな先輩二人に人生を学んだボクだから、読書より夜遊びが好きなのは仕方がない?。