ついさっき、近所のスーパーにある銀行のATMへ行った。連休明けだし、機械も2台しかないからだろう、結構な行列が出来ていた。別に急いでいるわけでもないので、周囲を見回しながらのんびり順番を待っていた。するとボクの2人前がかなりのおジイさん、その後ろが、おジイさんに比べれば大分元気そうには見えるが、かなりのおばあさんだった。
 その二人の順番がまわって来た。すると案の定、行列の進行がピタッと止まり、後ろを見ると列はどんどん長くなっていた。
 その時、おジイさんは画面に顔をすりつけるようにして文字を読み、そしてゆっくり指を動かす。すると機械が「もう一度最初からお願いします・・・」なんて回答をする。それが何度も繰り返されるのだ。
 そこで一瞬ボクはおジイさんの横へ行って、機械の使い方を指導してあげようと思ったのだが、一歩前に出て思い留まった。黒いニット帽に黒いジャンバー、それにズボンはグレーのジャージ、靴は汚れた古いスニーカー、その上、顔には白髪混じりの無精髭。こりゃどうみても怪しいオヤジだ。そんなボクが迷えるおジイさんの背後に迫れば、周囲のオバさんたちに「守衛さん!怪しい人がおジイさんに・・・」なんて、叫ばれてしまうかもしれない。
 そんなことをボーッと妄想していたら、後ろのオバさんが突然ボクの肩を叩いた。ドキッとして振り返ると「空いてますよ」と、恐い顔でにらんでいた。見るとおジイさんもおばあさんもATMの前からすでに消え、ボクの順番になっていた。