先日久々に、便せんにペン字という手紙を頂いた。そこでボクもペンを持って返事を書こうと試みたが、漢字は思い出せないし、文章もまとまらない。何しろリズムが悪いのだ。
 考えてみれば、文章を書く時、原稿用紙や便せんを用意せず、ワープロやパソコンのキーボードを叩くようになって、25年ほどにもなるのだ。
 ワープロがブームになりはじめた当時、作家の小松左京さんがあるインタビューで「ペンで書く原稿とワープロで書く原稿が違うことに気付いた。それは多分、ペンは右手だけを動かすから、左の脳しか使っていないけど、キーボードは両手を使うから右脳も働く。それで原稿の幅が広がったのかも知れない」と答えたのだ。
 その時ボクは「なるほどベストセラー作家の言うことは一味違う。そう言われてみれば、ボクの原稿も違って来た気がするなあ」なんて思ったりしたのだが、実際はその頃のボクはキーボードが苦手で、確か右手の人差し指だけで打っていた。
 「よ~し、久々に手書きでラブレターでも書いてみるか」なんて一瞬思ったのだが、考えてみれば送る相手がいなかった。