通勤時、週に1~2回会う、ボクと同じ駅から乗る共働きの新婚夫婦の話である。
 ダンナは気の弱い職人さんが作った釘のような感じ、奥さんは短気なお菓子屋さんが、イライラしながら作った、マシュマロみたいなイメージの人である。
 いつもは違うドアから乗るので、遠くから見る程度だったのだが、今日は同じドアから乗り、奥さんが隣りに座ったことでじっくり観察することになってしまった。
 まず、乗車する時、ダンナが空いている席を必死に探し、空席にバックを置く。そこに遅れてゆっくり乗って来た奥さんが座る。隣りの席が空かない限りダンナは座ることはなく、奥さんの前に立つ。
 「うちの部長ってバカみたいなの・・・、どう思うそういうの、私はね・・・」。会話は全てこのように常に奥さんが話題を提供し、問いかけの言葉はあるが、ダンナの答えを待つ事無く、奥さんが話続けるというパターンだ。
 話の内容はほとんどが悪口。それもかなり大きな声で話している。しかしダンナは常に笑顔で、視線をそらすことなくうなずき「そうなんだ」なんて、タイミングよく相づちを打ち続ける。
 そんなダンナの姿をずっと横目で見ていて、その優しさと根気に、呆れるほど感心した。しかし、こういう状況が通勤時だけでなく、家庭内でも繰り返されていることを想像すると、その愛がいつまで続くのか、大きなお世話だが、とても気になった。