今朝、本を忘れた。読む物が無いし、座れないから寝る事もできない。さらに周囲には手を握り合うカップルも、大声でしゃべるオバさんグループも居ないから、行動観察も耳をダンボにして会話を楽しむこともできない。数分で、見える範囲の広告も読み切ってしまった。
 気分は次第に悶々度を増してくる。そこで、最終手段として、ボクの前に座っている女性を観察し、その女性の生活を妄想してみることにした。
 まずは観察。左手薬指に指輪が光る。乗車時からずっとメールを打っている。服装は地味で公務員風。年齢は33~36歳。爪は何故か左手の親指だけ長い。手は荒れていない。表情はどこか冷く影がある・・・。
 さて、ここからが妄想だ。4~5歳年上の営業マンのダンナと共働きで、子供はいない。夫婦関係はここ数年マンネリ化して、会話も無い。孫の顔を早く見せろなどと、何かとウルさく干渉する姑の存在にムカつく毎日。しかし夫はそんな干渉から守ってくれようとはしない。
 というわけで、家に居てもイライラするだけなので、楽しくもないが仕事に出ている。そして今、唯一の楽しみは昔の友人とのメール交換。だから携帯を肌身離さず持っている。
 ここまでまとめてみて、あまりに当たり前の妄想しか浮かんでこないことにガッカリした。これではとても面白い小説など書けない。妄想力向上トレーニングの必要性を実感した。