今朝の六本木。歩道で揉めるカップルが居た。「今日はづっと一緒に居てくれるって約束したじゃない」と叫んだのは、20代前半に見える可愛い女性だった。そんな女性の手を振り払い、叫びを無視するようにタクシーに乗り込んだのは、明らかにホストくんだった。
 昨夜、ボクの月収に相当するようなシャンパンを注文させるために、ホストくんは、この世に存在するあらゆる優しい言葉を、彼女の全身に浴びせ続けたに違いない。そして彼女は酒に酔い、言葉に酔い、触れ合いに酔い、彼の愛を確信したのだ。
 しかし、店を出たとたん彼は「愛の夢芝居」の幕を強引に降ろし、背中で「もう今日の俺の仕事は終わったんだよ」と言った。
 タクシーのテールランプを茫然と見送る彼女の後ろ姿に、純なボクの胸は、締め付けられるほど痛んだ。そして「あの、愛をもて遊ぶホストに天罰を!」と呟いたのだった。