先日、昔部下だったAくんの愚痴を聞かされた。
 Aくんが深夜に帰宅すると、奥さんが玄関へ飛んできて、高一になる息子がこっそり喫煙にしていた、厳しく叱ってくれ、と、興奮して訴えたというのだ。
 その日Aくんは疲れていたし「明日でいいだろう」といったら、奥さんは怒って「今すぐ叱って」と命令口調で迫ってきたという。仕方なく息子の部屋へ行くと、息子はもうベットに入っていたので、その背中に向かって「タバコは体によくないんだから・・・」「お母さんにあまり心配かけるなよ」と静かに声をかけたという。すると息子は「うるせえんだよ」と、言ってAくんを睨んだのだそうだ。
 結局Aくんは、それで引き下がって来たわけだが、その経過を見ていた奥さんに「叱り方が情けない」「無責任」と、一晩中責められたというわけだ。
 Aくんは「親が子を叱るのは当たり前、とか、愛の鞭などとよくいわれるが、誰にでもできるものではなくて、ボクみたいな気弱な平和主義者の人間には不向きなんですよ」と、愚痴ったのだった。
 確かに中高生の子供を叱るのは難しく、さらにかなりのパワーが必要になる。ボクも10年ほど前、どうしても息子を叱らなければならないと思った時、「怒れ!怒れ!」と、15分ほど自分に言い聞かせ、パワーを十分溜めてから、中三の息子の部屋へ向かったという思い出がある。
 しかしまあ、大きくなった子供を叱るのは、ホントに大変なことなのである。