ドタバタが続いていた先週までと、ここが同じ仕事場かと疑いを抱いてしまうほど、今週は静かだった。かかってきた電話も、間違いと霊園の勧誘くらいで、来客はゼロ。
 仕事に追われている時は、このまま終わりが来ないんじゃないか、なんて不安になったり、1日30時間あればなんて、叶わぬ願いを唱えたりもする。しかしそんな仕事も終わってしまえばすぐに忘れ、今度は次の仕事はもう来ないんじゃないか、なんて新たな心配が持ち上がる。これが自営業の宿命なのだが、そんな暮らしも、もう12年が経過した。しかし、ボクにとってはそんな自営業の悩みなんて、サラリーマン時代の苦悩と比べれば棒と針ほどの差があるのだ。
 サラリーマン時代は日々のアイデア絞り出しに七転八倒し、上司と戦い、スポンサーに罵倒され、部下には不満をブツケラレ「会社が燃えてなくなれば、とんなに楽になるだろう」なんて、真剣に考えたことも一度や二度じゃない。
 もちろん人それぞれだから「サラリーマンくらい楽な商売はないでしょ」といって、毎日ネオン街で大活躍している友人もいるし、「個人で、そんなちっちゃい仕事して、ホントに楽しいですか」と、真剣に質問してくる若者もいる。
 数万円の仕事を初めから終わりまで全部一人でやる。数億円の仕事を数十人のチームで分担してやり遂げる。結局これは、どちらが良い悪いじゃない、向き不向きの問題なのだ。