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 先週夏休みを頂戴し、上州から信州の山中にある温泉や名所を散策したのだが、今思い出して、結局メインイベントとなってしまったのは米子大瀑布での岩場スライディング事件。今もその痛みと青あざは消えていない。
 米子大瀑布とは、信州須坂中心部から車で40分ほど走った所にある、巨大滝のことである。対向車とすれ違うたび、雲上の崖から転落するのではないか、なんて恐怖の妄想も膨らむ山道を疾走し、やっと到着した滝入り口の駐車場。そこで案内板を見ると、ここから徒歩30分ほどで大瀑布に出会えると書いてあった。
 その時、愛犬にも滝を見せてやろうなんて、いつもの、何となくの思いつきで行動するという悪い癖が出てしまった。
 登り始めると本格的登山道のようなゴロゴロとした岩場の急坂、雨にぬかるんだ泥の道など難路が続いた。都会育ちの極端な臆病者である我が愛犬は、「冗談じゃないわよ!こんな所へ連れてきて」と叫んでいるような表情をボクに向け続ける。
 しかし、登り始めて40分弱、とうとう大瀑布に到着。眼前には大自然からの壮大なプレゼントとも言うべき、落差85mの不動滝、左には落差75mの権現滝がその雄大な姿を現した(写真)。ボクはこれまでの苦労を一瞬忘れ、その景色に目を奪われたが、愛犬は「滝なんてどうでもいいわ」というように草むらにごろっと横たわった。
 そんな時、空には一転黒い雲が。急いで帰路についたのだが、何故か愛犬は「こんな所はもうたくさん」とでも言うように、下り坂を駆け出した。ボクは滑る岩場の急坂に細心の注意を払いながら、リードを強く握り集中して坂を下った。そしてとうとう駐車場が見える所まで降りて来てホッとした時、目の前に突然女の子が。
 それを見てボクは、これまで以上に強くリードを引いた。その瞬間、69kgの体が宙に浮いた。そしてドスッという音と共に岩の上に落ち、右半身に激痛が走った。
 大きな平たい岩の上で見事に滑ったのだ。愛犬は「何事?」というような顔をボクに向けた。そしてその背後には、可愛い女の子の、天使のような微笑みがあった。