防音室 | ヒートショックのない家を建てる

ヒートショックのない家を建てる

高齢の母のために考えた家を建てた経験を通して、注文住宅全般、特に換気関係について考えます。

 もう10年以上前の以前住んでいた、無気密無断熱の家のことです。

 長男が音高に入学するのを機に、書斎を改造して防音室にしました。

 

 この家は隣の家までは距離があったので、近隣への音漏れは心配していませんでした。

 それよりも家の中が問題でした。

 

 うちの息子はヴァイオリン専攻でしたが、音高ではピアノが必修なので、家でピアノの練習をすることになります。大して上手でもないピアノをガンガン弾かれたらたまりません。

 

 防音工事はお金がかかるので、優先順位を付けて重点的に行いました。

 実際の防音工事は家を建ててもらった工務店経由で、防音の専門業者に依頼しました。

 

 一番問題になるのが隣の子供部屋です。

 子供部屋は次男の勉強部屋になっているので、ここは壁を1枚追加して対策しました。

 

 反対側の壁には作り付けの本棚があり、壁を隔ててその向こうは玄関なので、音漏れしても影響が少ないので、そのままにしました。

 

 次に問題になるのはドアです。

 廊下を隔てた和室はあまり使っていなかったのですが、廊下はLDKにつながっているので、ドアは重要です。そのためドアは防音ドアに交換しました。

 

 南側はサンルームがあり、サンルームとの間の窓はペアガラスになっており、多少音が漏れても大丈夫なので、ここもそのままにしました。

 

 床は振動が直接伝わるので重要ですが、ここを触ると大掛かりな工事になるので、見送りました。

 その代わり、ピアノの足に防振ゴムを入れて、ピアノの振動が床に伝わるのを防ぎました。

 

 気密に関しては、高気密の家を建てた経験から、防音をする上で非常に重要だと思います。

 この頃は気密の知識があまりなく、壁の厚さや吸音材ばかりに気が行っていました。

 防音工事の専門業者に依頼していたので、この辺はきちんとやってくれていたと思います。

 

 防音には吸音よりも気密が重要ですが、防音室内の音響には吸音が重要です。特に狭い部屋では、より吸音が重要です。

 

 ホールなどの大きな空間ならば、壁に当たって跳ね返ってきた音は「残響」になりますが、3畳ほどの狭い部屋では、邪魔な音でしかありません。

 この防音室は3畳ほどの広さしかない部屋に、アップライトのピアノを置いていたので、非常に狭い部屋でした。

 吸音するにも部屋が狭すぎて、吸音材を置く場所もなく、窓の上の少ないスペースに、申し訳程度に吸音壁を設置していました。本棚の本も、多少は吸音に役立っていたかもしれません。

 

 本格的には高音は壁材で吸音して、低音は空間の取れる天井で吸収するのがいいと思います。壁は厚みを確保しにくく、床は強固にしないといけないので、低音を吸収するには適していません。

 

 費用は全体で100万円、そのうち防音ドアに50万円ぐらいかかりました。

 やはり、音はドアから漏れる事が多いので、本格的な防音ドアを採用したため、高くついてしまいした。

 

 この防音ドアは一人で持ち上げることが出来ないくらい重く、ドアを閉めて更にドアノブを回すと、ドアがパッキンに密着して、気密性を高めるような仕組みになっていました。

 

 これで「やかましい」という程のことはなくなりましたが、やはり離れた部屋でも音は聞こえます。

 これは主に床や床下と天井の空間を伝わって、他の部屋に漏れてくるものだと思っています。

 

 床板は隣の部屋とつながっているため、この床板を切断して切り離した方が良いのですが、そこまでは出来ませんでした。

 床下空間と天井裏空間も壁で仕切ってしまえば音漏れは減らせそうですが、リフォームでそこまでするのは中々難しい事でした。

 

 結果として、特に問題がない程度には防音が出来ました。