全館空調の価格 | ヒートショックのない家を建てる

ヒートショックのない家を建てる

高齢の母のために考えた家を建てた経験を通して、注文住宅全般、特に換気関係について考えます。

 24時間全館空調のことを色々と書きましたが、気づけば、価格のことについては今まで書いてきませんでした。

 

 というわけで、この家の全館空調の価格について書きます。

 

 全館空調というと高価な設備という印象が強いです。

 これは専用部材を使ったり、各部屋の温度差が少なくなるように各部屋までダクト配管したり、で高額になったのでしょう。

 また、各部屋の温度を同じ温度に整えたり、各部屋に温度調節機能を付けたりすると、余分なお金がかかってしまいます。

 私は特殊な設備なしで出来るものを目指したので、比較的安価にでき上がりました。

 

 そのため、各部屋別の温度コントロールにはこだわりませんでした。各部屋別に温度を変えるのは全館空調では難しいと思ったからです。細かな温度調節は基本的に各部屋のエアコンで行うという考えです。

 部屋にエアコンがないのでデザイン的に良いということも全館空調のメリットでしょうが、エアコンが部屋にあっても私はあまり気にしません。

 暑い寒いは、人によって感じ方が違う、その日の調子によって違う、その部屋に居る人数によって違う、全ての部屋を同じ温度にしたからと言って、快適だとは言えません。ならば、既に全館空調という設備でコントロールできるようなものではないと考えました。そういう訳で、各部屋の細かな温度コントロールは各部屋のエアコンで行うということにしました。

 

 こうなると、これを全館空調と呼べるかどうかはわかりません。

 

 では、実際の価格です。

 

 工務店での設備および工事費約120万円(エアコンを除く)です。

 これには、全館空調設備以外に第一種24時間全熱交換換気扇、浴室換気扇、レンジフードのダクト配管工事が含まれています。

 エアコンの設置は地元の電気屋さんに依頼しました。

 これが1台取り付け費込みで約20万円、空調室、リビング、和室の3台をお願いしました。

 もちろんエアコンは工務店でも設置できますが、後々のメンテナンスのことを考えて、地元の電気屋さんにお願いしました。

 この他、電気屋さんにお願いした追加のダクト工事が約15万円です。

 以上、レンジフード本体を除く換気空調設備は合計195万円です。

 

 ここから、リビングと和室のエアコン、第一種換気扇、浴室換気扇など(40万円+60万円+15万円)を除いた全館空調だけなら約80万円です。

 さらに、各部屋に1台ずつ設置するとすればエアコンは全部で4台必要なわけですが、全館空調にして寝室とキッチンのエアコンを節約できたので、空調室の1台を含めて3台のエアコンで済みました。つまり、エアコンを1台分節約できたと考えれば、約80万円からさらに20万円マイナスになって約60万円になります。

 

 まとめると、第一種換気、浴室換気、全室冷暖房を前提にすれば、約60万円の追加で全館空調に出来た訳です。

 PanasonicのAiSEG2と温湿度センサー、通信設備はこの価格には入れていません。

 

 次に、メンテナンスの費用です。

 

 後々、更新が必要な機器はエアコン1台と換気扇3台だけです。

 エアコンは約20万円、換気扇は1台約3万円の物が3台で、どちらもネットで購入できるような一般的な商品です。交換工事は電気屋さんにお願いしないといけませんが、特別な業者に依頼する必要はありませんし、工務店や大工さんにお手伝いいただく必要もありません。

 エアコンはCOPの良い高級機種を選んだので、少し高くなっていますが、もちろん低価格なものでも構いません。

 長く使っているとダクトが汚れて清掃が必要になるかもしれませんが、汚れるのは一番風量の大きな第一種換気扇の外気取り入れダクトでしょう。

 これは清掃するよりも交換した方が安上がりです。ダクト自体は1万円ちょっとに交換工事費で済みます。

 ダクトは小屋裏にあり、小屋裏にはタラップで簡単に入れますので、ダクトは比較的簡単に交換できるようになっています。

 素人でも交換できると思うので、自分で交換すれば、2万円もかかりません。

 

 後は、いつも問題になるフィルターのメンテナンスです。

 

 業者に依頼すると1回2万円ぐらいかかってしまいます。3ヶ月に1回にしても年間8万円、それでも受けてくれればいいですが、年に4回、年間8万円の仕事を受けてくれる業者はなかなか見つかりません。

 やはり自分でメンテナンスすることになってしまいます。うちは、住んでいるのが高齢の母なので自分ではできず、知り合い(素人)にお願いしています。

 第一種換気のPM2.5対応フィルターが2年に1回の交換で7千円ぐらいです。

 フィルターのメンテナンスは普通の第三種換気だけでも必要ですから、全館空調だけの特殊な作業とは言えないと思います。

 

 全館空調はいいものですが、設備費やメンテナンス費が高額になる特殊なものは中々一般には普及しないでしょう。

 全館空調が、各部屋の温度差を少なくしたり、各部屋の温度調節を考えたりして特殊で複雑なものになるのなら、床下エアコン暖房や小屋裏エアコン冷房の様な一般的な機器を使ったシンプルな設備の方が良いように思います。