室温を安定させるには熱容量の大きいことが必要 | ヒートショックのない家を建てる

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高齢の母のために考えた家を建てた経験を通して、注文住宅全般、特に換気関係について考えます。

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 外気温は昼夜で大きければ20℃もの変動がありますが、これを高気密高断熱にして外気からの影響を少なくして、室温の安定化を図っています。

 しかし、日射や24時間換気から外気の影響があるので、高気密高断熱だけでは室内の温度変化を抑えることは出来ません。

 

 このために大きな熱容量が必要です。

 

 熱容量というのは、熱を蓄えられる器の大きさです。熱容量が大きいと、たくさん熱を蓄えることが出来ます。

 

 木造は軽くて熱伝導率が低いので、耐震や断熱には都合が良いですが、熱容量が小さいので温度変化を抑える効果はあまり得られません。

 

 木造の建物の中で熱容量が比較的大きいのは、壁です。壁材に漆喰や珪藻土を使えば熱容量が多少大きくなりますが、使用する壁材の厚さは5mm程度しかなく、効果は限定的です。

 

 木造の建物の中で最も熱容量が大きいのは、やはり基礎です。

 基礎はコンクリートと鉄で出来ており、建物を支えるために非常に強固にしているので、木造建築の他の部材に比べて圧倒的に熱容量が大きいのです。

 基礎の温度よりも高い温度の空気が接触すると、熱は空気から基礎に移動します。逆に、基礎の温度よりも低い温度の空気が接触すると、熱は基礎から空気に移動します。
 この熱の移動時に基礎の温度変動が小さいと熱容量が大きい、つまり熱をたくさん蓄えられるということです。

 

 急激に温度が下がっているのは空調室のエアコンがお掃除運転している

 

 この基礎の熱容量が大きいこと、言い換えれば大きな蓄熱効果を使えば室温の安定化が図れます。

 

 ただし、床断熱にしてしまうと、基礎が室外になってしまうため、基礎断熱にすることが必須です。

 

基礎外断熱

基礎内断熱

 このように基礎の蓄熱効果を活用するために、この家を基礎断熱にしました。

 

 基礎断熱のメリットとしてその他に、

  気密がとりやすい

  床下が収納スペースとして使える

 などがありますが、実際に建ててみて、基礎の蓄熱効果と床下をチャンバーとして使える事の2つのメリットが大きかったと思います。

 シロアリに対するデメリットをカバーして余りあります。