サッカー選手をはじめとするスポーツ選手が長期離脱するケガのひとつとして、

前十字靭帯断裂」

という病名を聞いたことがあるのではないでしょうか?
前十字靭帯とは、太ももの骨(大腿骨だいたいこつ)と下腿の骨(脛骨けいこつ)を膝のところでつなぎ、しっかり支える二本の靭帯のうちのひとつです。(後十字靭帯もあります。)

北海道コンサドーレ札幌の稲本潤一選手(リンクあり)も、6月に試合中に受傷して全治8ヶ月と報道されていたのを覚えている方も多いと思います。

肩関節鏡や肘関節の手術が多い環状通東整形外科ですが、非常勤の松村医師による前十字靭帯再建術も行われておりますので、今回は簡単な手術の流れを書いてみたいと思います。

※以下の写真の掲載には手術を受けられた札幌医大のA君にご協力いただきました。ありがとうございます!

まず、麻酔に関して。当クリニックでは、「全身麻酔」と「神経ブロック注射」で行われることが多いです。
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まず酸素を十分に吸っていただきます。少しぼんやりする痛み止めも打つことがありますが、この時点では眠るわけではありません。

続いて点滴のところから、静脈麻酔薬(プロポフォール)を注射します。これを注射すると、どんなに眠らないで頑張ろうとしても10〜15秒くらいで寝てしまいます。(たまに、「寝ないで頑張る!」と勝負を挑む方がいますが、必ず寝ます。)

静脈麻酔薬の注射の時に、血管に痛みが出ることがありますが、まもなく眠ってしまいます。薬で眠った後はうまく呼吸が出来なくなるので、ラリンジアルマスクやi-gelという呼吸を助けるためのチューブを喉元まで挿入します。(入れるときはしっかり寝ているのでわかりません)

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上の写真ではA君の口元からチューブが出ており、それが麻酔器につながり、酸素などのガスがしっかり身体の中に送られています。左側のモニターに51と出ていますが、これは麻酔の深さを見るためのBISモニターという機械です。(クリニックでは置いてあるところは少ないと思います。またいつか説明します。)

このような全身麻酔のみで手術を行うことができますが、これだけでは手術後に目覚めると同時に激痛が膝関節を襲うことになります。そこで手術後の痛みをなるべく楽にするために、「神経ブロック注射」というものを行っています。

膝の手術では2カ所に注射することが多く、足の付け根と膝の裏です。

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写真は、左足の膝の横から、膝裏にある坐骨神経を超音波機器を使って確認しながら、神経ブロック注射を行っているところです。

右側にパソコンのようなモニターがありますが、これが「S-nerve(神経専用の超音波機器)」です。いわゆるクリニックでこのような機器を入れているところは全国的にもかなり少ないと思います。
神経や血管を傷つけないための安全面と、なるべく効果的な神経ブロック注射を行うために、堀田院長が導入した機器のひとつです。

さぁ、これで手術の前の準備はOKです!このあとは、入念に消毒をして松村医師の出番です。

そこからは次回の記事で。

以下の動画も参考のためご覧くださると、次回の記事がわかりやすくなると思います。英語ですが。



では、後半に続く!