毎月一度の定期検診。

慣れたと言えば、慣れた。

けれど、全く平常心かと言えばそうでない。それは、あり得ない。




がんの転移•再発の傾向はないかどうかの検査結果を聞くために、息を潜めて待合室にいる自分。

お腹の大きい妊婦さん。そのパートナー。時には、上の兄弟の手を引いている。

明るい雰囲気が漂い、ふと強張った頬が緩む時もある、産婦人科の待合室。




あー。

私が欲しくて欲しくて。

でも、私の今世では手に入らなかったものが、目の前で瞬いている。

綺麗事では済まない妊娠、出産、育児。それも認識している。でも、私が「綺麗事ではない」と言うのも、なんか違う。

生きた経験じゃあないからなぁ。




生と死が混在する、産婦人科。

産科と婦人科が分かれていればいいのに。

正直、そう思う。

でも、妊娠•出産というのもまた、死と隣り合わせなのだな。

母体もそうだし、流産や死産もある。

だからこそ、生も輝くのかもしれないが。





抗がん剤治療を終えてから、6回目の定期検診が終わった。

いつの間にか、中待合室の椅子で飴玉一つ、口に放り込むのがルーティンになった。

いつも、薬と一緒に3つだけバッグに入れている。

甘くない、ミントのキリリとした味の飴。

緊張で喉が乾いているのかもしれないし、唾液が出なくなっているのかもしれない。

自分の受付番号が表示されるまでの間、飴玉を取り出し、マスクの下側から口へポン。




心を落ち着ける、魔法の飴玉。







M5のシステム手帳を、ポーチ代わりにしている。