トルコが身近な国になってから、家でもトルココーヒーを飲むようになった。

 

普通のコーヒーと比べると、トルココーヒーは重たくて、苦くて、粉っぽくて、焙煎した香りがする。

 

重たいので、トルコではトルココーヒーは専用のカップ(デミタスサイズ)で飲む。

苦いので、トルコではたっくさんの砂糖を入れてトルココーヒーを淹れる(人もいる)

苦いので、トルコでは甘いお菓子(例えば、ターキッシュデライト。『ナルニア国物語』で冬の女王がくれたお菓子ね)と一緒に食べる。これは、日本でも苦いお抹茶を甘い和菓子と一緒にいただくのと同じ。

粉っぽいので、トルコではトルココーヒーは水と一緒に出される。

 

ちょっと気分を変えたいときに、私も家でトルココーヒーを淹れる。まぁ、普通のトルココーヒー。

 

トルコに行ったことのない私が知っている一番おいしいトルココーヒーは代々木にある東京ジャーミィ(ジャーミィはトルコ語で『寺院』)で飲める。正確に言うとジャーミィに併設されているトルコ文化センターのなかにカフェがあって、そこのトルココーヒーはとても美味しい。

もっと正確に言うと、このカフェのトルココーヒーならいつでも美味しいわけではない。トルコ人マスターが淹れてくれるトルココーヒーが美味しいのだ。時々、マスターの代わりに日本人の女の子がトルココーヒーを淹れてくれることがある。手順はマスターと一緒だ。なのに、味が違う。女の子が淹れるトルココーヒーは、私が淹れたトルココーヒーと同じ味がする。

 

マスターのトルココーヒーは、ふわふわの泡がカップ全面に広がっていて、口当たりが柔らかい。味は苦いのに、口当たりが柔らかいのが美味しいと思う(これもお抹茶と同じ。お抹茶も泡の出来が味を左右する)。

 

どうしてマスターが淹れるトルココーヒーは美味しいんだろ?香ばしい香りを吸いながら、毎回同じことを思う。