膀胱腫瘍患者の標準看護計画
膀胱腫瘍とは
尿路腫瘍のなかでは、もっとも発生頻度が高く、男性には女性の3倍発生するといわれる。ほとんどは移行上皮または扁平上皮癌で、良性のものは少ない。膀胱底部に好発し乳頭状に発育するものが多く、多発の傾向があり再発しやすい癌である。表在性膀胱癌の予後は良好であるが、悪性度と浸潤度が高度になると予後は不良である。転移は比較的遅いが、肝臓、肺、骨に生じやすい。
アセスメントの視点
膀胱癌は組織、悪性度、浸潤度によって分類し、それにしたがって治療の仕方もかわってくる。一般に用いられるのはジューエット・マーシャルの浸潤度の分類とブローダースの悪性度の分類である。診断は、なによりも膀胱鏡が有用である。
症状
血尿が主訴のことが多いが、顕微鏡的な血尿のこともあり、必ずしも肉眼的なものではい。腫瘍が大きくなってくると、頻尿、排尿痛、尿線の中絶、残尿感、腫瘍組織片の尿中排出などがみられ、膀胱の自発痛の生じることもある。尿路感染、尿管口の閉塞による腎機能の不全などもおこってくる。
検査
・尿検査:RBC(+)、尿細胞診が有用
・膀胱鏡:膀胱粘膜の異常
・生検:組織型の区別
・その他:KUB、CT、超音波、膀胱造影、血管造影、IVPなどによる進展度、転移の有無
治療
1.外科的治療
1)膀胱全摘術(尿路変更術)…回腸導管・尿管皮膚瘻
2)経尿道的膀胱腫瘍切除術・電気凝固術
2.薬物治療
1)抗癌剤の点滴治療→看護は「化学療法を受ける患者の看護」を参照
2)膀胱注入…抗癌剤・BCG
3.放射線治療→「放射線療法を受けている患者の看護」を参照
看護計画(膀胱全摘術・術前)
Ⅰ.アセスメントの視点(術前)
全身麻酔で手術が行われるため、全身の評価が必要である。高齢者も多いので、既往や機能の低下には十分注意する。
尿路変更というボディイメージの変化、性機能障害に伴う患者、家族の戸惑いは大きい。術前に患者、家族に十分な説明を行う。
Ⅱ.問題リスト(術前)
#1.疾患、手術に対する不安
[要因]・慣れない環境
・情報不足(検査、治療方法、手術後のイメージ、手術後のボディイメージや身体機能の変化)
・未体験である手術との遭遇
・死への恐怖
・社会的役割の変化
・予測される術後の疼痛
・入院によっておこる経済的問題
#2.予期的悲嘆
[要因]・ストーマ造設に伴うボディイメージの変化
・通常の排泄機能の喪失
・性機能障害
#3.家族の不安
[要因]・患者の病状、術後経過や予後
・告知の是非
・予後について
・仕事
・経済状態
・患者のボディイメージの変化(通常の排泄機能の喪失や性機能障害)
#4.排尿パターンの変調:頻尿
[要因]・膀胱腫瘍の壁内浸潤や膀胱三角部への浸潤
・膀胱炎を合併した場合の膀胱刺激症状
#5.排尿パターンの変調:尿閉
[要因]・凝血片や強い血尿時の尿道閉塞や膀胱タンポナーデ
Ⅲ.看護目標(術前)
1.疾患、手術および術後のボディイメージや身体機能の変化に対する不安が軽減され、手術の必要性が受容できる。
2.疾患による疼痛の軽減を図り、栄養状態が改善され、体力の消耗が最小限になる。
3.全身状態の評価により術後合併症を予測し、手術に対する身体的準備ができる。
4.家族の精神的慰安に努める。
Ⅳ.看護問題(術前)
#1.疾患、手術に対する不安
[要因]・慣れない環境
・情報不足(検査、治療方法、手術後のイメージ、手術後のボディイメージや身体機能の変化)
・未体験である手術との遭遇
・死への恐怖
・社会的役割の変化
・予測される術後の疼痛
・入院によっておこる経済的問題
&検査や手術の必要性、術前処置や方法を理解し、納得することができる
術前、術後の状態がイメージでき、不安が減少したことを表現できる
$手術前日
O-1.疾病、術前検査、手術に関する患者の情報量とその理解度
2.表情、言葉、態度の表出状況と不安の程度との関係
3.食欲、食事状況、睡眠状況
4.性格傾向
5.コーピング
6.サポートシステム
7.社会的役割
8.経済的問題
T-1.術前検査の説明や手術オリエンテーションを確実に施行する
2.患者が思いを表出できるよう、プライバシーの保護を考えた場所の確保を行い、余裕をもった時間を確保する
3.不安を訴えやすいよう受容的態度で接する
4.説明者は言葉や態度に配慮する
5.表出された不安や心配事に対しては誠意をもって対応する。内容によって医師の参加を求める
6.患者が保護されているあるいは、自己の存在感が感じられるような対応をする
7.食事摂取や排泄、睡眠状況が障害されている場合はその解決をはかる
8.キーパーソンから情報を収集しアセスメントする
E-1.術前検査や術前・術後のオリエンテーションをわかりやすく説明する
2.質問を促し、理解度を確認する。また、訴えてよいこと、それらを受けとめる用意があることを伝える
3.必要時睡眠剤が使用できることを伝える
#2.予期的悲嘆
[要因]・ストーマ造設に伴うボディイメージの変化
・通常の排泄機能の喪失
・性機能障害
&検査や手術準備、ケアに参加し、徐々に術後のボディイメージを受けとめることができる
手術に向けての準備を家族とともに行える
$手術前日
O-1.ボディイメージの変化、通常の排泄機能の喪失、性機能障害に対する反応(表情、態度、言動)と理解度
2.術前のケアへの参加状況、姿勢、態度、反応
3.サポートする人のストーマ造設に対する理解の程度と患者に関する情報
4.サポートの質と量
T-1.ストーマ造設に伴う怒り、悲しみ、不安、悩みを表出できるような時間的、環境的な配慮を行い、患者の気持ちをよく聞く
2.患者や家族のもつ不安、悩み、疑問に対して情報やケアを提供する
3.術前から社会復帰までの回復経過とセルフケア計画を表示し、説明する
4.ストーマに関する知識やストーマ造設後の日常生活に関する知識をVTRや実物、パンフレットを使用し理解しやすいよう提示する
5.マーキング、パッチテストを行いストーマケア時の障害の予防をはかる
6.患者が希望すれば自立して生活しているオストメイトとの面談を企画する
E-1.ストーマ造設に対する怒りや悲しみを表現することにより、気持ちの整理がつくこともあることを説明する
2.術前から社会復帰までの回復経過とセルフケア計画をわかりやすく説明する
3.ストーマに関する知識、ストーマ造設後の日常生活に関する知識(ストーマとは何か、ストーマの役割、特徴、装具の役割、スキンケア、装具の選択と種類、食事、入浴、運動、性生活等の日常生活について)を患者にとって理解しやすいよう工夫して指導する
4.質問を促し、理解度を確認する。また、訴えてよいこと、それらを受けとめる用意があることを伝える
5.ストーマがあっても、適切なケアと工夫で日常生活が支障なく送ることができることを説明する
6.患者にキーパーソンとストーマ造設について話し合い、サポートしてもらうよう説明する
#3.家族の不安
[要因]・患者の病状、術後経過や予後
・告知の是非
・予後について
・仕事
・経済状態
・患者のボディイメージの変化・通常の排泄機能の喪失や、性機能障害
&家族が術後の患者の状態、生活がイメージでき、不安が減少した状況がみられる
手術に向けての準備を患者とともに行える
$退院前日
O-1.表情、言葉による表現、態度
2.患者と家族との人間関係
3.患者と家族間の疾病に対する理解、認識度の差
4.家族間のサポートシステムや状況判断能力
5.家族がとらえている患者の性格傾向やコーピング
6.経済的問題の存在
T-1.家族とコミュニケーションをとり不安や心配事を表出しやすいような受容的態度でかかわる
2.家族と医療者との考えの間に違いがないか、また患者の考え方を尊重して関わる方法について相談、検討する
3.患者への説明の方法を決定する
E-1.家族が患者の今後についてイメージできるように、術後の状況、入院期間、社会復帰の時期等について説明する
2.家族に患者のサポートの必要を説明する
#4.排尿パターンの変調:頻尿
[要因]・膀胱腫瘍の壁内浸潤や膀胱三角部への浸潤
・膀胱炎を合併した場合の膀胱刺激症状
&排尿回数が特に夜間に増加しない
$手術前日
O-1.バイタルサイン
2.排尿状況(一回尿量、尿回数、排尿時間)
3.夜間排尿の回数
4.尿の性状、とくに血尿の程度
5.水分出納
6.データ(血液、電解質など)
7.随伴する症状の有無と程度(排尿時痛、残尿感、不快感など)
T-1.局所・全身の保温を行う
2.排尿に伴う苦痛(ベッド昇降やトイレへの往復、不眠など)が軽減できるように環境を調整(尿器やポータブルトイレの設置)する
3.陰部の清潔を保ち、乾燥を心がける
4.自覚症状の訴えやすい環境作りに配慮し、雰囲気作りを行う
5.水分の摂取計画
6.不眠時は医師に相談し睡眠薬を服用する
7.意識が排尿に集中しないような工夫をする
E-1.排尿を我慢しないよう、また保温の必要性と方法を指導する
2.膀胱タンポナーデ出現時は、医師指示にて膀胱洗浄を行い尿道留置バルンカテーテルの管理を行う
3.排尿状況の変化(排尿時痛がある、血尿が濃くなった、凝血片がみられたとき)があれば報告するよう指導する
4.水分摂取必要とその方法を指導する
5.膀胱刺激症状出現時は二次的出血予防のため、力まないよう指導する
6.不眠や不安、疲労を避ける必要性を説明する
7.気持ちが排尿に集中しないように、気分転換を試みるように指導する
#5.排尿パターンの変調:尿閉
[要因]・凝血片や強い血尿時の尿道閉塞や膀胱タンポナーデ
&尿流出が保たれ、血尿がある場合は軽減する
$手術前日
O-1.バイタルサイン
2.排尿状況(一回尿量、尿回数、排尿時間)
3.血尿や凝血の有無と程度
4.尿の性状、とくに血尿の程度
4.水分出納
5.データ(血液など)
6.随伴する症状の有無と程度(排尿時痛、残尿感、腹部膨満感、不快感など)
7.患者の表情、顔色や貧血症状の有無
T-1.水分摂取と尿量の管理を行う
2.医師の指示により、間歇的導尿や尿道留置バルンカテーテルによる排尿を行う
3.血尿の程度に応じ、安静を図る
4.膀胱タンポナーデ出現時は、医師指示にて膀胱洗浄を行い尿道留置バルンカテーテルの管理を行う
5.自覚症状の訴えやすい環境作りに配慮し、雰囲気作りを行う
6.苦痛の強いときや処置時は安楽な姿勢、体位を工夫し羞恥心に配慮する
E-1.排尿状況の変化(尿が出ない、排尿時痛がある、血尿が濃くなった、凝血片がみられたとき)があれば報告するよう指導する
2.蓄尿の必要性を指導する
3.血尿時は尿量確保のため水分摂取必要とその方法を指導する
4.膀胱刺激症状出現時は二次的出血予防のため、力まないよう指導する
5.不眠や不安、疲労を避ける必要性を説明する
看護計画(術後)
Ⅰ.アセスメントの視点(術後)
回腸導管造設術後の合併症としては、腎盂腎炎、腹膜炎、イレウス、吻合部狭窄、血栓による循環障害や肺塞栓がある。尿管皮膚瘻術後の合併症としては、尿管狭窄、腎結石、吻合部周囲炎、血栓による循環障害や肺塞栓がある。また、後出血や尿路感染症、痛みによる苦痛、睡眠障害等も両者に共通であげられる。精神面としては、外観の変化に対する悔しさや劣等感に悩まされる。退院後の日常生活への自信の喪失もみられ、対象の個別性に応じた自己管理の方法が必要となる。
Ⅱ.問題リスト(術後)
#1.合併症の危険性:ショック
[要因]・体液の過剰喪失
・出血
#2.気道クリアランスの不良
[要因]・創痛による去痰困難
・創痛やドレーン挿入による刺激や異和感
#3.合併症の危険性:肺合併症
[要因]・低アルブミン
・創部が腹部にあるための去痰時の疼痛
・創痛やドレーン挿入による体動の減少
・脱水
#4.合併症の危険性:腹膜炎
[要因]・創感染
・術後の吻合不全
・膿瘍形成
・術中・術後の腹膜への腸内容のもれ
#5.合併症の危険性:感染
[要因]・ドレーンからの排液によるガーゼの汚染
・創部とストーマの位置が隣接することによるストーマからの尿漏れによる創汚染
・膀胱全摘後の死腔の感染
#6.排泄パターンの変調:腸蠕動の低下
[要因]・開腹術による腸管操作
・腸管内でのガス発生
・麻酔薬、鎮痛薬の影響
・創痛やドレーン挿入による体動の減少
#7.合併症の危険性:ストーマの異常
[要因]・粘膜皮膚縫合部の離開
・ストーマ周辺皮膚の蜂窩織炎
・ストーマの血行障害や開口部の狭窄・装具による圧迫
#8.安楽の変調:疼痛
[要因]・手術による組織の損傷
・術中の同一体位からくる疼痛
・術後の体動制限からくる疼痛
・治療計画や処置、機械の装着による行動の制限
・術後の体力低下や不安、緊張からくる精神的動揺
#9.体液量の不足
[要因]・経鼻胃管、嘔吐による排液
・大量の創浸出
・術後のイレウス
・肺合併症
・術中、術直後の輸液療法
#10.セルフケアの不足:清潔・排泄行動、移動動作
[要因]・治療計画や処置、機械の装着による行動の制限
・術後の体力低下や不安、緊張からくる精神的動揺
・創痛やドレーン挿入による不快感
・消極的姿勢
#11.皮膚の損傷
[要因]・尿や浸出液の付着による刺激
・装具、テープ、装具交換による皮膚への刺激
・発汗による刺激
#12.ボディイメージの障害
[要因]・ストーマ造設によるボディイメージの変化
・排泄路の変更によるライフスタイルの変化
#13.性機能障害
[要因]・器質的(前立腺、精巣、尿道の切除、骨盤内リンパ節郭清に伴う性機能神経の喪失)なものによる障害
・ストーマ造設によるボディイメージの障害
#14.退院後の予期的不安
[要因]・ストーマ造設によるライフスタイルの変化
・ストーマケアに関する知識不足
・社会的役割の変化
#15.家族の退院後の予期的不安
[要因]・再発の恐れ
・告知していないことに対する精神的動揺
・排泄路変更に伴う日常生活への影響や社会生活への適応困難
Ⅲ.看護目標(術後)
1.術後合併症の発症がなく、腎機能が正常に保たれる。
2.手術による身体的苦痛の緩和を図り、精神的に安定して過ごせる。
3.治療による状態の変化が理解でき、退院後の生活上の留意点について述べることができる。
4.継続自己管理、再発予防、ストーマセルフケアの必要性が理解でき、必要時に医療者と相談することができる。
Ⅳ.看護問題(術後)
#1.合併症の危険性:ショック
[要因]・体液の過剰喪失
・出血
&バイタルサインが安定し、出血を早期発見することができショック状態を防ぐ対応
ができる
$術後3日
O-1.バイタルサイン
2.血液データ
3.水分出納
4.出血部位と出血量、性状
T-1.確実なバイタルサインのチェック
2.指示(薬液注入・輸液・輸血・酸素吸入・吸入)の正確・確実な施行とその効果の観察
3.水分出納の把握と安全で確実なライン管理
<出血時の援助>
T-1.ドレーン・創からの排液、浸出液が血性に変化した場合は、要因・循環動態への影響をアセスメントして医師に報告する
2.血圧、脈拍、呼吸、出血量、意識状態を観察する
3.ドレーンからの出血が50ml/時以上、血圧90㎜Hg以下(急激に下降した場合)はショック体位を保持し輸液速度を調節する
4.指示による補液、輸血、酸素投与を行なう
5.与薬(昇圧剤など)開始時はその効果と副作用を観察する
6.体位変換や移動時は、ゆっくりと行なう
E-1.患者、家族の不安を増強しないように現状と今後の予定を説明する
2.患者の状態が安定したら、医師より説明が受けられるよう配慮する
#2.気道クリアランスの不良
[要因]・創痛による去痰困難
・創痛やドレーン挿入による刺激や異和感
&去痰時の苦痛が緩和され、効果的な喀痰排出を行なうことができる
$術後5日
O-1.呼吸状態(音、リズム、数、深さ等)の観察
2.痰の性状と喀出状況
3.疼痛の程度と鎮痛の状態
4.水分出納
5.X-P所見
T-1.咳嗽や超音波ネプライザーで、口腔や気道の湿潤や加湿を促す
2.深呼吸を実施し、咳嗽時に創部の圧迫保護を行って努責しやすいよう介助する
3.自力去痰が困難なときは一時的吸引を行う
4.胃チューブの刺激を軽減(固定方法の工夫、挿入されている長さの確認など)する
5.体液バランス不均衡の場合は、指示による補正輸液を行う
E-1.去痰の必要性を説明する
2.去痰の効果的な方法(腹式呼吸、深呼吸、ハッフィングなど)を具体的に説明する
#3.合併症の危険性:肺合併症
[要因]・低アルブミン
・創部が腹部にあるための去痰時の疼痛
・創痛やドレーン挿入による体動の減少
・脱水
&肺合併症がおこらない
$術後5日
O-1.バイタルサイン
2.呼吸状態と呼吸音
3.痰の貯留状態とX-P所見
4.動脈血液ガス分析結果
5.痰の性状
6.呼吸に関連した自覚症状の有無
7.水分出納
T-1.喀痰の貯留部位の確認と去痰を促すために、腹式呼吸、深呼吸、ハッフィングなどを促す
2.制限内での体位変換を行う
E-1.去痰の効果的な方法(腹式呼吸、深呼吸、ハッフィングなど)を具体的に説明し、協力を得る
#4.合併症の危険性:腹膜炎
[要因]・創感染
・術後の吻合不全
・膿瘍形成
・術中・術後の腹膜への腸内容のもれ
&腹痛や腹満感、創感染がなく、バイタルサインが安定する
$術後7日
O-1.腹痛の有無、程度、部位
2.圧痛の有無と程度
3.バイタルサイン
4.血液検査結果(WBC,CRP)
5.創浸出液の性状
6.尿流出状態と周囲への漏れの有無と程度
T-1.ドレーンの管理を正しく行う
2.ドレーンが体動により不必要なつっぱりがかからないようねじれないよう配慮する
3.ガーゼ交換時は清潔操作に留意し、特に尿管ステント挿入時は抜去しないよう注意する
4.創汚染の予防に努める
5.腹膜炎の徴候や症状がみられた場合、絶飲絶食とし、医師指示により抗生物質を投与する場合は、効果とその副作用の観察を行う
6.手術の適応の場合は、その準備を行う
E-1.患者にライン類の挿入の必要性を説明し、治療や処置への協力を得る
2.浸出液の自覚時は、伝えるよう指導する
3.ガーゼ交換の必要性を説明する
4.家族へは、患者の必要時にサポートできるよう協力を得る
#5.合併症の危険性:感染
[要因]・ドレーンからの排液によるガーゼの汚染
・創部とストーマの位置が隣接することによるストーマからの尿漏れによる創汚染
・膀胱全摘後の死腔の感染
&ドレナージが効果的に行われ、正中創とドレーン挿入部の炎症症状がない
$術後10日
O-1.創部、ドレーン挿入部の炎症症状の有無
2.創部、ドレーンからの排液の量と性状
3.バイタルサイン
4.血液検査結果(WBC,CRP)
5.抗生物質使用時はその効果
T-1.ドレーンからの排液量を観察し、定期的にガーゼ交換をする
2.ストーマからの尿漏れによる創周囲の汚染を防ぐための工夫と装具の管理を行う
3.抗生物質の効果が最大になるよう輸液の管理を行う
4.ドレーンが体動により不必要なつっぱりがかからないよう、ねじれたり、また屈曲しないよう配慮する
5.ガーゼ交換時は清潔操作を徹底する
6.排液が逆流しないよう誘導したり、必要時はミルキングを行う
E-1.創部および全身の清潔の必要性を説明する
2.創部の汚染時は早めにガーゼ交換をする必要性を説明する
#6.排泄パターンの変調:腸蠕動の低下
[要因]・開腹術による腸管操作
・腸管内でのガス発生
・麻酔薬、鎮痛薬の影響
・創痛やドレーン挿入による体動の減少
&正常な腸蠕動があり排ガスがみられる
$第一段階-術後3日
第二段階-術後10日
O-1.腹部膨満感の有無と程度
2.排ガス、腸雑音の有無
3.悪心、腹痛の有無
4.活動の制限と状況
5.鎮痛剤を使用している時はその効果と影響
6.腸蠕動促進剤を使用している時はその効果
T-1.胃チューブが挿入されている場合は、定期的に吸引し、確実に吸引できているか観察する
2.腹部温罨法を行う
3.安静制限がない限り、術後2日目から離床を計画する
4.早期の四肢運動により全身の循環改善を図る
5.指示に基づき腸蠕動促進剤を使用する
6.指示に基づき肛門ブジーを施行する
E-1.排ガスを我慢しないように説明する
2.離床の説明と方法を説明する
3.術後食の必要性とその進み方を説明する
#7.合併症の危険性:ストーマの異常
[要因]・粘膜皮膚縫合部の離開
・ストーマ周辺皮膚の蜂窩織炎
・ストーマの血行障害や開口部の狭窄・装具による圧迫
&ストーマの形状が正常であり、尿流出が良好である
ストーマからの出血や浮腫の増強がなく、色調が良好である
$術後7日
O-1.ストーマの浮腫の有無
2.ストーマの色調
3.ストーマからの出血の有無
4.ストーマの陥没の有無
5.ストーマ周辺の皮膚の状態
6.粘膜皮膚縫合部の状態
7.ストーマからの浮遊物
8.ストーマからの尿流出状態
T-1.ストーマへの圧迫予防のために腹部を強く圧迫しない
2.ストーマを強くこすらない
3.尿貯留による尿漏れ予防のためカテーテル内の尿を速やかに誘導する
E-1.異常徴候を説明し、その徴候がみられる場合は報告するよう指導する
#8.安楽の変調:疼痛
[要因]・手術による組織の損傷
・術中の同一体位からくる疼痛
・術後の体動制限からくる疼痛
・治療計画や処置、機械の装着による行動の制限
・術後の体力低下や不安、緊張からくる精神的動揺
&バイタルサインが安定し、穏やかな表情を示し睡眠が確保できる
深呼吸と痰の喀出ができ、意欲をもって活動範囲が拡大する
疼痛が緩和したことを表現できる、または疼痛の訴えがない
$術後4後
O-1.創痛、腰部痛、筋肉痛に対する表現
2.バイタルサイン
3.表情、行動、体位
4.深呼吸、痰の喀出状況
5.可動状況
6.痛みの誘因
7.睡眠状況
8.今までのコーピング状況
9.鎮痛剤を使用している時はその効果
T-1.腹筋の緊張をおこしたりドレーン挿入部を圧迫しない安楽な体位の工夫
2.ドレーンやチューブの固定方法の工夫と配慮
3.深呼吸や咳嗽時には創部の圧迫保護を行って努責しやすいよう介助する
4.腰部痛、筋肉痛に対してマッサージや罨法を行う
5.深呼吸、筋肉弛緩などによるリラクゼーションを促す
6.家族へは、患者の必要時にサポートできるよう協力を得る
7.頻回に訪室し患者の訴えをよく聞き、不安の軽減を図る
E-1.安楽な体位や、体位交換の方法を指導する
2.疼痛を不必要に我慢しないこと、また疼痛の原因とその軽減期の目安、鎮痛剤の薬効時間を伝える
3.不安や疑問はいつでも表現するよう説明する
4.可動範囲を説明