皆さまこんにちは。

 

梅ちゃんです。

 

不動産取引において、「三為」「三為業者」などといった言葉をよく耳にすると思います。

 

今回は「三為」と呼ばれるスキームについて、解説をしたいと思います。

 

「三為」=「転売」というイメージが強く、いい印象を持たない方もいらっしゃると思います。

 

今回は、「三為」について、法律の観点からその仕組みを見ていきたいと思います。

「三為業者」と不動産の取引をすることがあった場合でも、このスキームの法律的な仕組みを理解すれば、戸惑うことなく、自身でしっかりと判断できると思いますので、どうぞご覧になっていただければと思います。

 

  ーーー 目次 ーーー

1)「第三者のためにする契約(三為)」とは

 

所謂「三為スキーム」について①

 

 

2)「三為スキーム」の誕生の歴史

所謂「三為スキーム」について②

 

 

3)三為=転売?←今回はここ!!

4)最後に~三為スキームの有無はその取引の良し悪しに影響しない~

  ーーー 以上 ---


 

 

3)三為=転売?

 

前項までで、三為スキームが生まれた経緯をお話いたしました。

 

簡単に申し上げると、

 

「不動産転売業者が、税コストを抑えるために作られた法スキーム」

 

ということ。

 

そのため、三為=転売と考えてもおおむね差し支えないです。笑

 

もう結論を言ってしまったのですが、売買以外の取引でも使うことができます。

 

1)のおさらいになりますが、三為とは、「第三者のためにする契約」の略語でございます。

 

法律としての用語は、「契約」と言っており、売買契約に限った話ではありません。

 

また、不動産取引における三為スキームの法的な構造は、以下のとおりです。

(これも1)のおさらい)

 

①Aさんは、Bさんに不動産を売ります。

②その際に、「Bさんではなく、Bさんの指定した者へ所有権を移します。」と特約を結びます。

③そして、Bさんは、所有権の移転先として、Cさんを指定します。

④最後に指定を受けたCさんは、Aさんに対して、「所有権を受け取ります!」という意思を示します。

⑤そして、所有権は、AさんからCさんに直接移転します。



 

AさんとBさんの間では、「売買契約」を行っておりますが、BさんとCさんとの間で行っているのは、「所有権の移転先の指定」と、「所有権を取得する旨の受益の意思表示」を行っているのに過ぎないのです。

 

わざわざBさんとCさんとの間に売買契約を結ぶ必要が無いのです。

 

例えば、「贈与契約」の中に「指定」と「受益の意思表示」を組み込んだりしてもいいわけです。

 

また、「指定」と「受益の意思表示」を行うことを要件とする契約類型は、法律上ございませんが、いわゆる「無名契約」として位置づけることもできちゃうわけです。

 

以上の通り、三為は、必ずしも「転売」であるとは、法律上の観点からは言い切れないのです。

 

ではなぜ、不動産転売業者(Bさん)はCさんと「売買契約」を結ぶのでしょうか。

 

それは、あえて宅建業法の適用を受けることで、コンプライアンスを守り、取引の安全を実現するためです。

 

Aさんに売買代金を支払うわけですから、Bさんを無償でCさんに譲るわけにはいきません。

 

例えば、純粋に「指定」と「受益の意思表示」だけを内容とした契約をする場合、Bさんは、どうやってお金をとるのでしょうか。

 

「指定を受ける権利」に料金を儲けるような形になると思います。

 

では、そうすると何が問題になるのでしょうか。

 

ちなみに、「瑕疵担保責任(今はもうありませんが)」など、売買契約をすることで、生じる責任などはこっちも発生します。

 

根拠は次の通り。

 

(有償契約への準用)

第五百五十九条 この節(第三節 売買)の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。


 

この規定があるため、売主が負う責任は、「指定代」を受け取る限り、逃れることができません(もちろん、特約で排除できちゃいまし、それは売買であっても同じ)。



 

また、上記の契約が「売買」でない場合、宅建業法の適用がされないことになってしま士います。

 

「宅建業法の適用がされない」ということが、一番の問題点です。

 

宅建業法が適用されない。ということは、重要事項説明書を作成する必要もなければ、説明義務もありませんし、敷いては、宅建業の許可が無くても取引をすることができてしまいます。

 

そうすると宅建士の資格もいらないことになりますね。

 

指定代をとらないで、無償で行う分には問題ありませんが、そんなことをする人はおそらくいないでしょう。

 

上記の論理がまかり通れば、資格を持たずとも、やりたい放題することができてしまいます。

 

本来、そういった不動産取引の安全性を高めるために、「宅建業法」という法律が生まれたにもかかわらず、その目的を実現できなくなってしまうわけです。

 

そのため、あえてBさんとCさんとの間の契約を「売買+指定、受益の意思表示」という類型とすることで、不動産取引の本来の目的を実現させようという風になりました。

 

ということもあって、三為=転売というような形にいきついたということができます。

 

あえて宅建業法の縛りを設けることで、いい加減な不動産取引をなくしましょう。というものです。

 

今の不動産業界の形態を守りたい、というのもあるかもしれません。

 


 

そんなわけで、今回はここまでです。

 

しばらくブログの投稿をできなかったのは、別のホームページのブログ執筆作業に充てていたことと、単純に仕事やプライベートで忙しかったことが理由でした。

 

アメーバブログはしばらく放置状態だったのですが、コメント欄で応援をいただいたことがきっかけでまた再開しました。

楽しみにしていただいていた読者様には大変申し訳ないと思います。

 

このシリーズは次回で終わりますが、もう一つの「梅ちゃんの勉強日誌」で投稿した内容なども分割で投稿できればと思います。

 

また、今年はコロナの影響で受験を控えてしまった中小企業診断士でございますが、勉強活動の報告などもぼちぼちやっていけたらと思います。

(仕事とかの考え事がいっぱいで、なかなか勉強時間を用意できないですが。。。)

 

それでは、皆様引き続きよろしくお願いいたします。

 

ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました!!