楼門をくぐり中門へと進みます。
<中門>
上賀茂神社の御祭神についてはこんなお話が。
神代にまで遡る遠い昔のこと。賀茂玉依媛命が瀬見の小川(現在の賀茂川の上流)で身を清めているとき川上から1本の赤い矢が流れて来ました。賀茂玉依媛命は不思議に思いその矢を持ち帰り、床にお祀りしておやすみになられたところ身ごもられ、男の御子をお産みになられました。
<丹塗り矢を模したおみくじ掛け>
御子が成長されたとき賀茂玉依姫命の父・賀茂建角身命が父親が誰なのか尋ねると、「我父は天津神なり」と答え天に昇ってしまわれました。
賀茂玉依媛命が再び我が子に会いたいと願っていたある夜夢枕に御子が顕れ「私に会いたければ葵の葉で葛を編み、祭をしなさい」とお告げになられました。
御神託に従い祭を執り行うと、立派な成人のお姿になられた御子が神山に降臨されました。
この御子こそ賀茂別雷神で、そこで祭が始まったことが上賀茂神社の起源とか。
<社殿に見られる双葉葵の御神紋>
神さまの鎮まる本殿、常設の仮殿である権殿(ごんでん)は共に国宝指定ですが(文久3年(1863年)造替の流造)、全容を見ることはできません。
中門前から二拝二拍手一拝。この度お参りする機会をいただけたことに感謝し、年のはじめということでこの1年が健やかな年でありますようにとお祈りしました。
<中門に下がる吉祥宝船>
さて、上賀茂神社境内には24社の摂末社があるそうで。全ては無理でも、出来るだけお参りさせていだこうと思います。
<中門そばにある幣殿(祈祷殿)>
楼門を出て左に苔むした屋根が素敵な川尾神社。(須波神社とともにとても落ち着く神社でした。)
<川尾神社>
御祭神:罔象女神
迷いを取り除く神さま。
そのまま清らかに流れる御物忌川を遡り
<途中にある伊勢神宮遥拝所>
新宮神社へ。
<境内奥地に鎮座する新宮神社>
御祭神は水を司る龍神として崇敬される高龗神。
門が開かれるのは毎月第2、第4日曜のみとのことで(本年に限り特別に毎月土日祝日開門)、この日は門の手前からの参拝になりましたが、扉越しにも神さまの気配が伝わってくるようで、立ち去りがたい気持ちになりました。
<新宮神社>
来た道を戻り、授与所そばの橋本神社、
<かわいらしい八咫烏みくじ>
<橋本神社>
御祭神:衣通姫神(そとおりひめのかみ)
延命長寿、心身を美しく輝かせる神さま
「ならの小川」を渡って岩上神社にお参り。(雪を冠って大岩の上に佇む様が神秘的。)
<岩本神社>
御祭神:底筒男神、中筒男神、表筒男神
交通安全の神さま
この辺りは渉渓園(しょうけいえん)の裏にあたり、美しいお庭が垣間見えます。
<渉渓園(しょうけいえん)>
足立美術館を作庭した作庭家・中根金作により昭和35年(1960年)に造られた曲水庭園。
平安装束に身を包んだ歌人たちが川に杯を流しながら和歌を詠む、賀茂曲水宴が行われる。
参道の先にある赤い鳥居は双葉稲荷神社。
<双葉稲荷神社鳥居>
石段の上(神宮寺山)に双葉稲荷神社と八嶋龍神社が並んで鎮座していますがこの2社、境内にありながら上賀茂神社の管轄外らしい。(境内図に載っていない)
御由緒によると、先ほど見た渉渓園は元は神宮寺というお寺だったそうで。そこには1,500坪に及ぶ池があり、中央の島に八嶋龍神が祀られていましたが、明治の神仏分離を受け廃寺となり、寺地は民家に、池も埋め立てられてしまったとか。後に跡地は境内に復され八嶋龍神は今の神宮寺山に遷座、島にあった主岩石は現在渉渓園に祀られているという―
「えっ?さっき見たお庭に龍神さまの岩が?!」
それはぜひお参りしたいと渉渓園へ。
<渉渓園>
庭園の真ん中にそそり立つ大木・睦(むつみ)の木に心奪われますが(←巨木好き)
<睦の木>
300年前からこの地にあるというスダジイの大木。ひとつの根から何本もの木が伸び、それが1本に結ばれていることから仲睦まじい家族を表す。
案内板を見ると開園は午後4時まで。「残り時間5分しかない。」浸る間もなく、岩のもとへと急ぎます。
<願い石(陰陽石)>
龍の住む池から出土したという陰陽石。陰と陽が極まり融合した姿を表すそう。参拝方法に習い、両手で同時に石に触れ、その御力をいただいてから賀茂山口神社にお参りします。
<賀茂山口神社>
御祭神:御歳神
本社の御田をはじめ神領地の田畑の守護神として崇敬される
辰年に龍神さまの岩に触れお参りできるなんて・・・ 力強いお力添えをいただいた気分です。
渉渓園から「ならの小川」に沿って、
<ならの小川>
その流域に鎮座する摂社・奈良神社、傍らに楢の木があったことなどがその名の由来という
<奈良神社>
御祭神:奈良刀自神(ならとしのかみ)
学業成就、料理技術向上の神さま(しっかりお参りさせていただきました←料理苦手)
<蛍が舞う神社だなんて素敵♪>
山森神社、梶田神社とお参りし
<山森神社>
御祭神:素戔嗚神、稲田姫神、田心媛神
病気を治す神さま
<梶田神社>
御祭神:瀬織津姫神
下の病の神さま
上賀茂神社を後にしました。
これほどの神社ですから、欲を言えば時間を気にせずゆっくりお参りしたかったけど(特別参拝もしたかった)、たくさんの摂末社にお参りできたし、龍神さまにもお会いできたし・・・
参拝を終えた今、ありがたい気持ちでいっぱいです。
<参拝を終えて>
蛇足
賀茂別雷神の丹塗り矢伝説、「古事記」神武天皇の伊須気余理比売の項に似たようなお話があったのを思い出しました。他にもこういう伝説あるのかな。
<伊須気余理比売(画像は橿原神宮HPよりお借りしました)>
・上賀茂神社(賀茂別雷神社):京都府京都市北区上賀茂本山339 HP