錦帯橋を渡り岩国城へ。標高200mの山上にある岩国城へはロープウェーで行きますが、運行は9時から。まだ40分ほどあるので辺りを散策することにしました。
錦川西岸は藩主のお膝元とあって武家屋敷や長屋門等、藩政時代を偲ばせる佇まいがそこここに見られます。
<旧吉川邸厩門>
<目加田家住宅(めかたけじゅうたく)・表側>
<目加田家住宅・裏側>
【目加田家住宅(国重要文化財指定)】
江戸時代中期の18世紀中頃に建てられた中流武家屋敷。入母屋造りの建物は、簡素ながら端正な佇まい。岩国の武家屋敷は錦川の氾濫に備えて二階建てが多かったようで、目加田家住宅も二階建てだが、表から見ると平屋に見える。これは藩主が通る際に見下ろすことがないよう配慮したものと言われている。
お堀に白壁、まるで絵のように美しい風景に旅情がそそられる。
<お堀と白壁>
今なお残る見事な石垣は「御土居」と呼ばれる藩主の居館跡。
<御土居跡に残る石垣>
御土居は岩国の政治の拠点でしたが(なぜ岩国城ではなかったのか、そのお話はまた後ほど)、明治の廃藩置県で解体され、その跡地は明治18年(1885年)公園として開放。
<御土居跡につくられた吉香(きっこう)公園>
<公園化に際し旧藩時代の矢倉に似せて造られた絵馬堂・錦雲閣>
現在は桜やつつじ、花菖蒲、アジサイ等が植えられ、四季折々の花の名所となっています。
<吉香公園の古桜>
<県内最大というエンジュの木>
この日はキンモクセイの良い香りが漂っていました。
<吉香公園に咲いていたキンモクセイ>
美しい緑に大迫力の大噴水、そして歴史的建造物―
<豪快に水を噴き上げる大噴水>
「日本の歴史公園100選」にも選ばれる吉香公園。本当にきれいな公園で、近くに住んでいたらきっと毎日通っちゃう。(笑)
<健康器具まである!>
藩主の旧居跡には吉香神社が鎮座しています。
<吉香神社>
吉川氏歴代の神霊を祀る神社だけに、ぜひともご挨拶しておきたいところ。
<手水鉢(左:輪九曜、右:下がり藤三つ引両、どちらも吉川氏の家紋)>
現社殿は享保13年(1728年)城山の白山比咩神社内に造営され、明治18年(1885年)現在地に移築されたそうです。
拝殿は入母屋造妻入り。屋根からして複雑な造りで、その独特な美しさに思わず見惚れてしまう。錦帯橋然り、岩国藩の大工さんってつくづく高い技術力をお持ちだったのだなぁと思いました。
<拝殿>
格子で見えなかったのですが、本殿は三間社流造で正面に軒唐破風、千鳥破風が付されているとか。本殿、拝殿、神門が同一時期の建築で揃っているものは貴重らしく、国の重要文化財に指定されています。
<ごつごつした岩座が独特な狛犬>
歴代藩主さまへのご挨拶が叶ったところで、かつての鎮座地・白山比咩神社にもお参りさせていただきました。
<白山比咩神社>
菊理媛命、小白山比咩命、大己貴命(大国主命)を祀る白山比咩神社。創建は不詳ですが、伝えによると貞観18年(876年)加賀国の分霊を移し祀ったとのこと。神社林として城山の一部を奉納する等、歴代藩主の崇敬は厚かったようで、
<神門>
当時の社殿は「関西の東照宮」と称される壮麗豪華なものだったとか。明治23年(1890年)焼失し、現在の社殿は明治31年(1898年)の再建ですが、
<御社殿>
城山を背に佇むお社はいかにも岩国の鎮守神さまらしく。岩国の移り変わりをずっと見守って来られたのだろうなぁと、その長い歴史に思いを馳せました。
<伊勢神宮の古材で建てられた境内社・錦川水神社>
さて、時間になったのでロープウェー乗り場に向かいます。
<ロープウェー山麓駅にあった木炭自動車>
・吉香公園:山口県岩国市横山
・白山比咩神社:山口県岩国市横山2-8-12