「きららビーチ焼野」から車で5分、「本山岬公園」を訪ねました。
<本山岬公園>
「本山岬公園」は山陽小野田市の最南端にある公園。周防灘に突出するように海に面していて、奇岩・くぐり岩で知られるビュースポットです。
まずは入口に鎮座する金毘羅大権現さまにご挨拶。
<金毘羅大権現>
“海の守り神”として知られる香川県の『こんぴらさん』の御分霊です。
<御社に掛かる「金毘羅大権現」の額>
神仏習合の名残か境内には観音さまと、並んで蛇神さまが祀られています。
<左:観音さま、右:蛇神さま>
本山岬の東側は湿地でヘビが多く、「蛇谷(へびたに)」と呼ばれる場所があったそうなのですが、蛇神さまをお祀りしたところハミ(小さなヘビ)にかまれる人がいなくなったとか。アウトドアを楽しむ身とあって、わたしもかまれることがありませんようにと、しっかりお参りさせていただきました。
<境内に咲いていたアヤメ>
鳥居の前から緑のトンネルを抜けると
<木の下に伸びる遊歩道>
周防灘に奇岩がそそり立つ壮観な風景が広がります。
<本山岬>
”公園”とはいえ設備はトイレと東屋だけ。歩道も至ってシンプルなので、自然そのままを楽しむことができます。
目の前に広がるのは周防灘。
<周防灘>
視界が良ければその向こうに大分県の姫島や由布岳、福岡県の足立山、英彦山まで見渡せるそうです。
思えば大分側からしか見たことがなかったから、なんか新鮮。
<長崎鼻の香々地灯台から見た周防灘(2023年1月撮影)>
というか、改めてそういう位置関係なんだと思ったり。(←地図の読めない女)
浜の右手には大きな穴が開いた岩壁がそそり立ちます。
<穴の開いた岩壁>
本山岬は3億年~2億5千年前に形成された地層が露出しており、
<砂岩層>
<礫岩層>
波や風による浸食と風化が繰り返され、このような形になったそうです。
ダイナミックで目を引く光景ではありますが、これは「くぐり岩」ではありません。(間違う人が多いのか注意書きがある)
この岩の隙間を抜けた先、
<見えた!>
これが「くぐり岩」です。
<くぐり岩>
縦方向の節理に沿って海食が進んだ結果、海食洞が貫通してトンネル状になったもので、最も大きなトンネル(上画像中央)は高さ3m、幅2~5mもあります。
大きさはもちろんですが、この造形美!これが自然に造られたものだなんて、圧倒されます。
「くぐり岩」はもとは岬とつながっていましたが、昭和10年頃崩れ落ち今の形になったとか。
<岬とつながっていた頃の「くぐり岩」(案内板より)>
「もしかしたらこの先風化が進んで、形が変ったり崩れたりするのかも・・・」そう考えると、今こうして眺めていることがとても貴重に思えました。
「くぐり岩」の反対側(大穴のある岩壁の左手)には蛇紋岩があります。
<蛇紋岩>
「くぐり岩」ほど目立つ存在ではありませんが、この岩は宇部層群の基盤の一部。
<蛇紋岩ズーム>
これだけ狭い範囲にこれほどバリエーションに富んだ岩が見られるなんて、本山岬は地層の宝庫なんですね。(「ブラタモリ」で解説して欲しい!)
よく見ると岩の上に植物が生えています。
<岩に生えた植物>
ここだけ海水に浸からないのか、5種類の植物が確認できるそうです。わたしは3種類しかわからなかったんだけど、
<イワタイゲキ>
浜で見かけたのはハマエンドウとハマヒルガオくらい、
<ハマエンドウ>
どこから種が飛んで来たんでしょうね?たくましいなぁ。
本山岬の浜辺には1400年前のイイダコ漁用のタコツボ(※)や琥珀が打ち上がることがあるそうで、ビーチコーミングとか楽しそう♪(相方がさっさと駐車場に戻ってしまったので蛇紋岩を撮るのが精一杯だった)
<本山岬の浜>
※案内板によると本山岬周辺は、材料の粘土、燃料の松、穴窯を構築するための斜面など条件が揃っていたことから6世紀末頃須恵器が生産されていたらしい。
小野田や宇部など瀬戸内海側の海岸線は工場地帯が多く、自然の海岸線が残る場所は少ないと聞いたのですが、こんな素敵な場所があったんですね。またゆっくり訪ねてみたいです。(できれば空気の澄んだ秋か冬。山口側から九州を見てみたい!)
さて、本山岬公園を散策したところで時刻はまだ午前11時。帰るには早いけれどGWであることからこのまま帰路につくことに。
復路は高速道路で、途中壇ノ浦PAに立ち寄り関門橋でも見てから帰ろうと思っていたのですが交通情報を見て愕然。「小月IC~門司IC間渋滞20Km?!」山口側から九州へのお出かけを考えてなかった・・・ やむなく一般道を選択するも、こちらも関門トンネル付近が大混雑で結局渋滞にハマることに。
とんだオチがついてしまいましたが、念願の貝汁と美しい海に癒されて、大満足の休日でした。
<関門トンネル(下関側)>
・本山岬公園(くぐり岩):山口県山陽小野田市大字小野田字2
※くぐり岩は干潮時にしか近寄ることができません。潮位表を確認されてからお出かけすることをお勧めします。