額縁の作り方 グラッフィートの下描きをどうするか問題 | 古典技法額縁制作修復 KANESEI

額縁の作り方 グラッフィートの下描きをどうするか問題

 

先日ご覧いただいたラテン語フレーズを入れた額縁の、装飾過程をすこし。

箔の上に卵黄テンペラ絵の具を塗って、乾いたら絵の具を掻き落として箔を見せる「グラッフィート graffito 」という技法です。

もう何度もご紹介しておりますので、ご興味があればぜひ続きをご覧ください。

 

さて、ボローニャ石膏地にカーボン紙でデザインを転写しまして、これをニードルで線彫りします。

グラッフィート装飾は、基本の方法としてはこの線彫りはしません。石膏地に箔を貼り磨き、まっさらな箔地にテンペラ絵の具を塗り、乾いたところに模様を転写して掻き落とします。

わたしは何故に石膏地に線彫りするのか(ひと手間増やすのか)と言いますと、線があることで薄っすらと凹凸と陰影が出来て美しいと思うこと。それから、テンペラの上に転写する必要がありませんので、カーボン紙等の跡が残らないこと。

 

 

上の写真は搔き落とし開始の様子です。

黒い絵の具層の下に金箔があります。薄っすらと文字の線彫りが見えていますので、このラインをなぞります。

 

今回は黒ベースですので、黒色の上にカーボン紙を使っても見えませんし、例えば白いチャコペーパー等使って跡が残ると厄介です。

逆に明るい色のテンペラを塗って、その上に転写する場合でも、やはりこの転写跡ってとても気になるのです。完成度がぐっと落ちてしまうような。

 

そんな訳で、ひと手間増えてもこの方法が気に入っております・・・。

 

 

さぁ、グラッフィート(搔き落とし)が終わりました。

あとは古色仕上げをして完成でございます!やれやれ。