ああもう、倒れる3秒前 | 古典技法額縁制作修復 KANESEI

ああもう、倒れる3秒前

 

ご注文いただいた額縁を作っているとき、何が一番怖いかって、サイズ間違いです。

 

材木を切った時点で間違いに気づけばまだ良い方で(材はもったいないけれど、他でも使える場合があるので)、ある時など金箔作業も終わって完成間近、仕上げの時に気づいたこともあります・・・。

納品後に発覚!という最悪パターンはまだ無いのが不幸中の幸いですが、それもいつかやってしまう恐怖がいつもあります。

 

いや、それにしても気づいた時のショックと言ったらありません。

納期が間に合うか、材料が足りるかなど、もう本当に心臓がぎゅっとなる。

そして大変にがっかりします。

 

自分一人でやっておりますので、失敗のすべては自分のミスです。慰めようも無いのがまたトホホなところ。

 

▲火球?! いえいえ、自衛隊の大きなヘリコプターでした。

 

こんなことを書き連ねましたのも、いま額縁内部に簡単な細工加工をしてサイズ調整を入れる額縁を作っておりまして、塗装済み、あとは仕上げの段階なのですが、なんだかちょっと心配になってサイズのメモを見たのです。

そうしたら額縁が1センチ大きいじゃないの!

 

ちょ、ちょ、ちょっと待って・・・

血の気が引いて、もう一度きちんと確認しましたら大丈夫、これで合っているのでした。最初のサイズはご相談の最中のメモでした。いやはや。

 

ああ、また寿命がすこし縮みました。倒れそう。まだ動悸がしています。

 

▲「天高く馬肥ゆる秋」は間近

 

わたしが誰かと一緒に工房経営や制作をしない、したくない心理はこれなのでしょう。自分がミスがほかの人の迷惑になる、ということ。

こう書くとまるでわたしが謙虚な人間のようですが、そうではなくて、いい年齢になっても乗り越えられていない小心者のプライドと言ったところです。

 

大勢で出来る仕事の規模や達成感などと、自分一人でする小さな仕事と安心感、どっちも善し悪しがあって、結局のところ向き不向き、好みなのだろうなぁと思っています。

 

なににせよ、サイズ確認は気を付けよう。

押忍。