「あえて指導をしない」
ん?と思うところもあるかと思いますが,指導者にとっては大切なことです.
特に小学生を指導しているスポーツクラブの指導者にとっては最も重要なことです.
小学生時代は極端なことを言ってしまうと運動の指導で考えると「やればやるだけ伸びます」.
例えば「(走りなどの)フォームをきれいにする」「持久力をつけるために走り込みなどをおこなう」・・・etc
あげればキリがないですね.
「それならばたくさん練習や指導をしたほうが良いのではないか?」と安易に考えてしまいますが,そうではありません.
はっきり言います.「小学生で練習をしすぎて(フォームを矯正しすぎて・持久力をつけるために走り込みをしすぎて)伸びるのは危険」です.
理由を説明すると「(走りなどの)フォームをきれいにする」については,「フォームをきれいにする」のはまだ早いからです.
なぜなら,小学生はまだまだ成長をする時期.身長も小学生を終えてからもぐんぐん伸びます.
下に成長曲線のイメージの表を貼ります.
https://athleterecipe.com/column/32/articles/201910090000331より引用(アスレシピ)
小学校6年生の男女でも,中学3年になるまでに男子は約20cmほど,女子は約15cmほど伸びるのです.
つまりこれだけ身長が伸びるということは腕も脚の長さも伸びるということ.
小学生の段階できっちりとしたフォームをつくることにより,身長の伸び(腕や脚の伸び)による変化によって,そのフォームが崩れてもう一度作り直すという作業が必要になってきます.
この「もう一度作り直す作業」というのがものすごく大変.
一度身についた癖はなかなか修正することが難しいのです.
そのため小学生の段階においてはフォームをきっちりと固めないほうが良いのです.
そしてもう一つ「持久力をつけるために走り込みなどをおこなう」に関しては,「まだ早い」です.
小学生時代にわざわざたくさん走り込ませたりしなくても成長とともに持久力は増加していきます.
もちろん,走れば走ったぶんだけ伸びます.でも,その伸び幅は中学校にとっておいて欲しいのです.
自分でスポーツに取り組む時期に「走り込み」などをおこなっていくと記録がグッと向上します.
記録が向上をすると,当たり前ですが,「楽しくなりもっとやりたい」状態になります.
その状態に持っていくことができれば子どもたちは自分で「何をすればより伸びるのか」などを考えるようになり,そのスポーツにより興味を持ち,のめり込んでいきます.のめり込みによる競技力向上はものすごいです.
小学生時代に走り込みなどで競技力を伸ばしていくと,中学校での大きな伸び幅を感じられることは少なくなります.
人によってはほとんどなくなります.するとそのスポーツに対する興味はどうなるでしょうか?・・・ほぼなくなります.それではのめり込むこともなくなるので記録は伸びにくくなります.
事実,全国小学生大会優勝のアスリートで大人になり第一線で活躍しているのはほとんどいません.
北海道小学生大会においても優勝を果たした子どもたちが中学校でも活躍しているのかというとほとんどいないのです.
なので小学生に関わる指導者は「やり過ぎ」「フォームの固めすぎ」「結果の求めすぎ」に注意をしないといけないのです.
「あえて指導をしない指導」というのも存在します.
オホーツクキッズの小学生チームではその部分に重点をおいています.
過去に北海道大会チャンピオンや入賞者が多数いますが,全員「過度な練習はいっさいしていないアスリート達」です.
だから,中学や高校でグッとアスリートとして成長をしているのです.
そういったことを考えて,私の場合は大学の指導者をやめて,小学生の指導者としてこの地域に帰ってきました.
本気でアスリートを育てるためには小学校時代に「やり過ぎない指導者」と子どもたちが出会う必要性があると感じたからです.
小学生時代に思いっきり輝く必要はありません.
中学や高校,さらにその先で輝くことが重要です.
・・・たまには真面目にブログを書きました.