TVアニメ『変人のサラダボウル』の主人公・鏑矢惣助は29歳、独身。岐阜県岐阜市で貧乏探偵事務所を営んでいる地味な男だ。あるとき異世界から転移してきたサラと出会い、なりゆきで彼女の面倒をみることになる。
 異世界からやってきた皇女・サラや女騎士・リヴィアなど個性豊かなキャラが織りなすストーリーは全体的にコミカルだが、作中にはいじめ、カルト宗教、転売……など現代の社会問題を取り入れた話もあり、考えさせられる。


 先日、「作品中に新興宗教が出てくると必ずカルト的なネタにされる」といったことを悩みの1つとして宗教2世が言っていた。『変人のサラダボウル』もしかりである。現役宗教2世にとっては、宗教を否定的に捉えるだけでなく、現代社会が持つ問題点を解決してくれる肯定的な側面も紹介すべき、という気持ちもあるのだろう。
 私が学生だった頃、「アメリカは人種のるつぼ」と地理で習った。最近は「人種のサラダボウル」という表現に変わっている。「るつぼ」なら異なるものが溶けて渾然一体となっているイメージだが、人種差別が問題となるアメリカの現実社会には、「るつぼ」という表現はそぐわないということなのだろう。混在しているという意味では「サラダボウル」のほうが即している。
 黒人・白人・黄色人種ーー人種や民族の壁を超えさせてくれるものは何だろうか? 父母なる神様の下に人類は兄弟姉妹であるという宗教的な教えや発想。そういうところに宗教が現代社会に必要とされる存在意義があるように思われる。
 食物が単にカロリーを摂取するためだけの意味しかなければ、サラダの存在価値はそのカロリー値同様に低くなる。しかし、現代人はそれ以上の価値をサラダに見出している。ビタミンや食物繊維など、体のバランスを保つためには不可欠な要素もあるのだ。
 岐阜県はアニメの聖地としても名高い。『変人のサラダボウル』の舞台が岐阜であることにも隠された意味がありそうだ。主人公は異世界からやってきた人ーーそう、サラだ!ーーを家族として受け入れ、義父(ぎふ)となる……。



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