次のNHKの朝ドラに寺田寅彦(1878〜1935年)をという声が出ている。高知県が生んだ世界的学者といえば、植物学の牧野富太郎と物理学の寺田寅彦を挙げることができるだろう。第五高等学校(現・熊本大学)で夏目漱石に英語を習い、漱石が主宰する俳句結社に参加したことから、生涯親交を結び、「漱石の一番弟子」と呼ばれることもある。



 さて、9月1日は「防災の日」。とりわけ今年は関東大震災からちょうど100年を迎える。1923年(大正12年)に発生した関東大震災の混乱の中で「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマが流れ、それを信じた官憲や自警団などが多数の朝鮮人を虐殺した事件が起きている。

 2017年の韓国映画『金子文子と朴烈』 では、主人公の朴烈と金子文子が遭遇した関東大震災とその直後の朝鮮人虐殺事件が描かれた。寺田寅彦もまた、次のように書いている。


 ……昨夜上野公園で露宿していたら巡査が来て○○人の放火者が徘徊(はいかい)するから注意しろと云ったそうだ。井戸に毒を入れるとか、爆弾を投げるとかさまざまな浮説が聞こえて来る。こんな場末の町へまでも荒して歩くためには一体何千キロの毒薬、何万キロの爆弾が入(い)るであろうか、そういう目の子勘定だけからでも自分にはその話は信ぜられなかった。(『天災と国防』「震災日記より」から)



 在日朝鮮人が井戸に毒を入れるなど、冷静に考えればあり得ないことと判断できそうだが、現実はそうではなかった。人々の不安や恐怖心を煽る根拠のない浮説やデマがいかに罪深いかを知ることができる。「天災は忘れられたる頃来たる」とは寺田寅彦の名言。人災にもまた当てはまる教訓である。



もしもの時の防災対策してる?

防災袋はどこにしまった……。

▼本日限定!ブログスタンプ

あなたもスタンプをGETしよう