私は、ある程度、デザインを勉強したり、デザインの仕事をしていると、だんだんと、これだけでは、ダメだ、と思うようになりました。
若い頃は、デザイン自体が好きで、そのために知識やテクニックに興味がわき、自分の好きな分野ばかりを学んできました。
しかし、デザインを仕事としてやっていくうちに、デザイン以外の知識の必要性を、強く感じるようになりました。
特に、広告デザインにおいては、マーケティングやセールスの知識が必要となってきます。
もちろん、これらの分野の知識なしに、デザイン一本でやっていくことができる優れたデザイナーも存在します。
しかし、仕事として、もしくは、俗っぽい言い方をすれば、商売としてデザインをやっていく場合には、マーケティングやセールスも、勉強しておいた方がいいでしょう。
特に、若い頃から関心を持っておくと、あとあと、いいことがありますよ。
そんな感じで、デザイン以外にも興味関心があるため、それ以外の本も、よく読みます。
最近は、やはりビジネス書が元気があり、いろいろなアプローチの本が出版されているため、読んでいて楽しいですね。
その中に、デザインとの関連性を見つけると、おや、と思い、うれしくなってしまいます。
最近読んだのが、三谷宏治著『マンガ ビジネスモデル全史 創世記編』(PHP研究所)という本です。
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この本は、歴代のビジネスモデルを、わかりやすくマンガで学ぶことができる良書です。
その本の99ページに、ゼネラルモーターズ(GM)の中興の祖といわれるアルフレッド・スローンが登場します。
この人が、自動車の計画的陳腐化というマーケティング手法を押す進め、大きな売り上げを作り出します。
販売した車を、わざと「流行遅れ」にして、新しい車に買い換えさせる手法です。
これにより、買い替えが進み、自動車販売の売り上げがあがる、という感じですね。
その時に作られたのが、いわゆる流線型と言われる形をした自動車です。
車の後部が、クルンと尻尾のようになっているやつです。
つまり、スローンは、機能的な面よりも、ファンション性を取り入れたということです。
その時、ふと、思い出したのが、学生時代、プロダクト・デザインの先生が、こういう車を批判していたことです。
私の習った先生は、そういった見かけのデザインよりも、やはり機能性というか、モダン・デザインを重要視されていました。
いわゆる、機能美=デザイン性が高い、という考えです。
この本を読んでいたら、偶然、GMのスローンが登場してきて、なんとなく、懐かしい思い出がよみがえってきました。
まあ、確かに、ビジネスモデルの歴史を語る時、GMの手法は、外せないことは外せないので、登場することは必然なのですが。
実は、このファッション性とプロダクト・デザインを結び付けて、大きな売り上げをあげるという手法は、後々にも登場します。
そう、リンゴマークで、ですね。
一つ一つのデザインや製品も、大きな流れで見ると、ある意味、理由がわかるというか、なぜ生み出されたか、ということがわかり、理解しやすいです。
本書『マンガ ビジネスモデル全史 創世記編』は読みやすく、いろんな意味でおもしろいので、オススメです。
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