デザインからみる、スローンと計画的陳腐化 | デザインの基礎と実践的な技術を紹介!デザイナー志望の方へ

デザインの基礎と実践的な技術を紹介!デザイナー志望の方へ

デザインに必要な基礎デッサンから、主にグラフィックデザインの基本から応用まで、実践的なテクニックを解説。また、デッサンやデザインに役立つ技法書も紹介します。

 私は、ある程度、デザインを勉強したり、デザインの仕事をしていると、だんだんと、これだけでは、ダメだ、と思うようになりました。



 若い頃は、デザイン自体が好きで、そのために知識やテクニックに興味がわき、自分の好きな分野ばかりを学んできました。


 しかし、デザインを仕事としてやっていくうちに、デザイン以外の知識の必要性を、強く感じるようになりました。


 特に、広告デザインにおいては、マーケティングやセールスの知識が必要となってきます。



 もちろん、これらの分野の知識なしに、デザイン一本でやっていくことができる優れたデザイナーも存在します。


 しかし、仕事として、もしくは、俗っぽい言い方をすれば、商売としてデザインをやっていく場合には、マーケティングやセールスも、勉強しておいた方がいいでしょう。


 特に、若い頃から関心を持っておくと、あとあと、いいことがありますよ。



 そんな感じで、デザイン以外にも興味関心があるため、それ以外の本も、よく読みます。


 最近は、やはりビジネス書が元気があり、いろいろなアプローチの本が出版されているため、読んでいて楽しいですね。


 その中に、デザインとの関連性を見つけると、おや、と思い、うれしくなってしまいます。



 最近読んだのが、三谷宏治著『マンガ ビジネスモデル全史 創世記編』(PHP研究所)という本です。


マンガ ビジネスモデル全史 創世記篇/三谷 宏治
¥1,512
Amazon.co.jp


 この本は、歴代のビジネスモデルを、わかりやすくマンガで学ぶことができる良書です。



 その本の99ページに、ゼネラルモーターズ(GM)の中興の祖といわれるアルフレッド・スローンが登場します。


 この人が、自動車の計画的陳腐化というマーケティング手法を押す進め、大きな売り上げを作り出します。


 販売した車を、わざと「流行遅れ」にして、新しい車に買い換えさせる手法です。


 これにより、買い替えが進み、自動車販売の売り上げがあがる、という感じですね。



 その時に作られたのが、いわゆる流線型と言われる形をした自動車です。


 車の後部が、クルンと尻尾のようになっているやつです。


 つまり、スローンは、機能的な面よりも、ファンション性を取り入れたということです。



 その時、ふと、思い出したのが、学生時代、プロダクト・デザインの先生が、こういう車を批判していたことです。


 私の習った先生は、そういった見かけのデザインよりも、やはり機能性というか、モダン・デザインを重要視されていました。


 いわゆる、機能美=デザイン性が高い、という考えです。



 この本を読んでいたら、偶然、GMのスローンが登場してきて、なんとなく、懐かしい思い出がよみがえってきました。


 まあ、確かに、ビジネスモデルの歴史を語る時、GMの手法は、外せないことは外せないので、登場することは必然なのですが。



 実は、このファッション性とプロダクト・デザインを結び付けて、大きな売り上げをあげるという手法は、後々にも登場します。


 そう、リンゴマークで、ですね。



 一つ一つのデザインや製品も、大きな流れで見ると、ある意味、理由がわかるというか、なぜ生み出されたか、ということがわかり、理解しやすいです。


 本書『マンガ ビジネスモデル全史 創世記編』は読みやすく、いろんな意味でおもしろいので、オススメです。


マンガ ビジネスモデル全史 創世記篇/三谷 宏治
¥1,512
Amazon.co.jp