【観劇日記】東京ノート  芸劇+トーク  朗読「東京」 | kaネとmo観劇日記

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年間200本程の観劇。
その感想やらを忘れないように、記しておこうと思います。








1/17(金)夜公演 東京芸術劇場シアターイースト
最前列 ど真ん中

平田オリザさんの戯曲にはたくさんの登場人物がいることが多く、
「東京ノート」も例に漏れません。
原作には20人の登場人物がおり、上映時間は100分を越えるものだとか。
今回は演出の江本純子さんが18人60分に改訂されたとのこと。

これまで観た男女2人のリーディングでは、やはりカップルの物語で、
二人のやりとりだけでしたが、
この作品は18人の男女を二人で読み分けるので、
話しを追いかけるのが難しかったです。
しかも、時には同一人物を二人で担当していたりするので尚更です。
そこが面白くもあるわけですが。
さらに、この戯曲は無関係な何人かのグループの会話で構成されていて、
それが唐突に被さってくるので、
いくら声色を換えても、視覚情報がないので混乱してしまいました。

というわけで、途中からは物語を追うこと、理解することは諦め、
お二人の声の表情、抑揚やらキャラクターやらを楽しむことにシフトチェンジ。
すると、本当にロビーで出くわした通りすがりの人物として話しを聞きかじり、
勝手に妄想するという楽しみが生まれて、
普段の観劇とはひと味違う時間となりました。

気に入った登場人物は、元家庭教師とその教え子の二人です。
偶然、久しぶりに再会したようですが、
二人の間にはちょっと色あせた恋のかけらがチラッと見えて、心をくすぐられます。

時折入るシャッター音は。
実際に写真を撮るシーンもありますが、そうではない意図…掴みきれませんでした。
ただ二人が去ったソファーには、
彼女が持ってきた一眼レフのカメラが忘れられています。


今回は、台本は綴じておらず折り重ねられた束でした。
それをテーブルに置いての朗読なので、
必然的にうつむきがちになってしまったのが残念でした。



アフタートークで、演出の江本さんが
「短い会話のやりとりが続く、言葉のミュージカル」
というような説明をされて、なるほどと思いました。
かみ合っているようなかみ合っていないような台詞の応酬を
見事にぶつけては、受け取ったり交わしたりする
菅原永二さんと佐久間麻由さんが素敵でした。
お二人のやりとりを観るのが目当てだったわたしは、
充分に満たされた夜になりました。