ベンジヤミン・ブリテンの「春の交響曲」作品44の日本語版を作成せんとす。
詩はエドマンド・スペンサーとなり。
第二曲「浮かれ郭公」
浮かれ郭公(くわくこう)は春の使ひ、
その喇叭たる、はや三たび鳴けり、
思ひ思ふ者らに告ぐ、王を立てよと、
誰そや来ぬる、花輪の冠(かむり)着て。
鳥たちのさへづりはとよみて、
その寿(ほ)き歌は愛を讃へん、
なべて森は、どめき湧き立つ、
理りに、相ひ感じたる如し。
さはれ、声々に愛を褒むるのみ、
何ど聞こえざる、をんな君の事、
それ、をんな君は彼れが言を容れず、
をとこ君や思ひ虚しく、
ゆゑにも愛よ、をんな君向かずば、
え、郭公止むまで、逆ふ者と為さばや。