リヒヤルト・シュトラウスの管弦楽伴奏付き歌曲集「ブレンターノの詩による六つの歌」の日本語版を作成せんとす。
第四曲「我れに汝が歌は響け」
汝が歌は響け矣、我れこそは聞け、
吹きまとひ薔薇を、月かげを慕ひて、
鮮らかなる蝶は春に舞へ、
それ神子みこしき蜂へと改まりぬ、
薔薇となれ、我が思ひ、
我が胸に汝が歌は響きて。
汝が歌は響け矣、小夜鳴き鳥は歌へ、
あゝ、我が穏(おだ)しう甘き白鳥の歌
月よ、聴きねかし、空より伺ひ、
星よ薔薇よ、我が訴ふる、
いづくに在りや、汝は今、はためきて、
この歌を響かせん。
汝が歌は響け矣、その声は虚しからず、
およそ春には愛の息吹き満つ、
汝が歌へば、身を浸さめ
あくがれ出づる行く水の我がいのちの
この夕つかたに、
我れに汝が歌は響け。
汝が歌よ。