審判奇譚 第八章23 | 神鳥古賛のブログ

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古典。読めば分かる。

 「さぞ、さぞ。」とレニ云ひ、ゑ笑ひつゝ商うどのおもてをまぼりぬ。「これなるひと、何んぞも、かく口叩きなる事や矣。


しか云ふも、汝れ、」とてをみな、即ちKに向き直り、「これなるひとの云はん事、こればし信ずるなかれ。


良きひとにてはあれど、このうへもなき口叩きの奴つこなるは。弁護の君、これなるひとを厭はしがるも、思ふに此れが為なれ。


兎にも角にも、およそ心地うるはしうし無くんば、これなるひとに会ふ事なきなり。


如何にもして、かゝるさまを改めばやと思ひて、いみじう骨折りもこそすれ、かつて及ばざる。


かくの如、ブロク来たれりとなん云ひて、我れ、しばしばも取り次ぐ事ありけれ。


しかるを、取り次ぎたる後ち、三日にして、やうやう会はんとするてふ塩梅。


さはれ、将に呼び出でたる時し、ブロクの方、それにあらざれば、すべては泡と消え、ふたゝび初めより、取り次がざるべからざるとなん。


しかりければ、我れ、ブロクの此れに泊まらん事を許したるなれ。


弁護の君、これ、夜更けに呼び鈴を鳴らして、ブロクを呼び出でんとしたる事さへありしなる。


かくて、ブロク、今やはや、宵よひも待ち構へゐたれ。


さりながら、有らう事か有るまい事か、ブロクありと知りたれば、弁護の君、彼の者に通れと召し出でたりしを、取り下げたりし事も、しばしばありし。」となん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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