今シーズン5の前半を見終わったところ。後半は今年の8月に放送されるらしい。

 

このYellowstoneは、まだそんなに有名じゃなくて、小さなネットワークでひっそり放送していたときから、ケビン・コスナーが主演だったので、興味があって見始めたけど、今は大ヒットして、超有名になって、スピンオフも2シリーズできたほど。1つ目は、1883というドラマで、イエローストーン主演のダットン家初代の人たちが、モンタナのイエローストーンに東から移動して、モンタナに落ち着くまでの話。これはParamount+という月額料を払わないとならないストリーミングでしか見られないのだけど、私は飛行機の中で偶然、これがイエローストーンのPrequel(前に起こった話)とは知らずに、何気なく選んでみた。飛行機がサンフランシスコ空港に到着してしまって最後まで見れなかったのが残念。家に帰って終わりをみようかと思ったら、パラマウント+に加入してないと見れないことを知って、がっかりしてしまった。いまだに最後の2エピソードほど見れていない。

 

 

1883はカントリーシンガーで有名なTim McGrawが初代のJames Duttonを演じている。好演。男も惚れる、男の中の男という感じの役。ケビン・コスナーもドラマの中ではそんな感じだけど、代々ダットン家の筆頭主は誰からも尊敬されるリーダー格の男、ということなんだろう。ストーリーの中では、南北戦争時、南部の有能な将校だったのが、大敗して死の多さに戦争が嫌になり、捕虜収容所から解放されてから、まだ未開の地であったオレゴンで牧場を経営する、という夢を持って、気の進まない家族を無理やり連れて、西部に向かう、という話だ。その際、ドイツから100人ほどの移民も一緒に行くことになり、ドイツ人と自分の家族を、道中にいるインディアンや、盗賊たちから守りながら、幌馬車に乗って旅をする。ドイツからの移民は英語も話せないし、ドイツの都会から来ているので、アメリカの荒野や、非情な天候、厳しい自然、かかったことのない病気、荒くれた人間どものことは何も知らない。男も女も痩せて、肌が白くて、荒仕事をしたことのない、白魚のような手をしており、銃なんぞ見たこともない、という人たちだ。そういう人たちを引き連れて、まだ未開拓のアメリカ西部の広大な土地を横断するのは容易なことではない。彼らを狙うインディアンや、野生動物、中でも一番怖いのは、同じ白人で、馬に乗った強盗集団で、彼らを容赦なく襲って、殺して物品を奪おうとする。もちろん、毎日ポロポロと人が死んでいく。ドイツ人たちは都会出身なので、サバイバルスキルがまったくなくて、ちょっとしたことで死んでしまう。川を渡るときも、泳げないので、おぼれ死んでしまう。馬に乗ったことがないので落馬する。外で寝たことがないのですぐ風邪を引く。川の水をそのまま飲んでしまって、赤痢などの病気になる。病人が出るたびに、よそに移って蔓延する。そういった集団を、James Duttonとそれを生業にしている、Sam Elliot演じる「西部行きのガイド」が苦労しながら引き連れていく、というストーリーだ。

 

James Duttonを演じているTim McGraw

 

James Dutton自身は、将校だったから銃の名手で、強い男だから、自分は自分で守れるのだが、彼の家族は全員女性だ。いくら彼が強い男だからと言って、一人で家族全員を守ることは困難だ。だからサム・エリオットが雇った他のカウボーイたちのいるグループに加わったのだ。ドイツ人たちも、銃こそ使えないが、ナイフや刀は持っている。インディアンや、強盗に襲われた時、大勢の方が身を守りやすい。力仕事をするのだって手がある。だから、ジェームス・ダットンはこのグループと一緒にオレゴンを目指すことにした。

James Duttonの妻を演じるのは、実生活でも本当の奥さん、やはり超有名なカントリーシンガーのFaith Hillだ。私はカントリーはあまり詳しくないので、二人を見ても、「誰か有名な人なのかな?」としか認識がなかったが、(二人とも大物のオーラが出てたので)番組の初めのイントロダクションをみると、Tim McGrawとFaith Hillとかいてあったので、へえ、と思ってびっくりした。私でも、Tim McGrawとFaith Hillが超有名なカントリーシンガーであることは知っていたし、「確かこの二人夫婦じゃなかったっけ?」と思うほど、二人が結婚していて、超大物カップルであることも有名だ。もうすでに有名だし、McGrawだけでも年収3800万ドル(約51億6千万円!)あるので、二人ともお金のためにやってるわけではなさそうだ。やっぱりカントリーシンガーだけじゃ物足りなくて、いろんなことをしたくなるのかな。

このドラマには、アメリカでは莫大なファンベースを持つ、Sam Elliotも出ている。Sam Elliotがこんなに長く、主役のような役になって出演しているのは珍しい。私も好きだけれど、今まで主役で映画に出たことは少なかったので、長い間見たことがなかった。もちろん、ドラマ出演は初めてだ。少なくとも私の知ってる限り。南部訛りの低い声で、ゆっくり話す口ぶりが特徴だ。

 

Margaret Duttonを演じるFaith Hill

 

Sam Elliotは西部に移住したい人たちを希望の土地に連れて行くのを生業にしているガイド役。今だと、何でもない職業のようだけど、当時は未開発の土地だったから、野生の動物もいれば、白人を敵対視しているインディアンもいて、何よりも横行して怖かったのは盗賊たち(Bandits)だった。パイオニアたちの姿を見ると容赦なく襲い掛かり、女子供も全員銃で撃ち殺して、荷物を奪った。女は強姦され、子供と一緒に連れ去られて売られるか、目撃者を残さないために暴行された後殺された。とても危険な、命がけの旅だったのだ。なので、それを何度もやってのけるガイドも命がけの仕事だった。相当土地勘があって、サバイバルスキルに富んでいて、強者じゃないと務まらない仕事だった。

 

Sam Elliottはガイド役を演じる

 

 

次のスピンオフは、1923という。1923年にイエローストーン牧場の主であったダットン家の話だ。これもパラマウント+でストリームしていて、加入していないので見ることができない。しかし、3エピソードはテレビで放送していたので、それを録画した。まだ見ていない。でも番組宣伝は何度も見た。というか、見さされた。

これもYellowstoneのPrequelで、オリジナルのイエローストーンより豪華な演出。お金ももっとかかっているかもしれない。こちらの方がYellowstoneより後で撮影された。でも、時代背景はYellowstoneが現在であるのに対し、1923年だ。こちらの方は、主演がハリソン・フォードと、ヘレン・ミレンと大物俳優ばかりだ。ハリソン・フォードは、私はこのような連続ドラマに出るのを見たのは初めてだ。最近テレビに出て、このドラマの話をしている。実際のハリソン・フォードを見れるのは、本当に珍しいことなので、テレビに出ているのを見て、やりとりを楽しく見ている。まず、だいぶん年を取って、おじいさんになった、ということと、昔からそういう印象だったのだけど、少し頑固おやじなのだ。

 

 

奥さんのCara Duttonを演じるのは、私が大好きなドラマ、The Prime Suspect(第1容疑者)で当初ロンドン警察初代女性刑事長を演じた、ヘレン・ミレン。ミレンも、エリザベス女王を演じて、オスカーで主演女優賞を獲得している、超大物女優。この二人が出演しているのだから、オリジナルのケビン・コスナーが出ているYellowstoneよりすごいドラマと言えるかも?しかし、これもParamount+でしか見れないので、私は観ることができない。テレビで特別に3エピソードぐらい見せていたけど、シーズン1は全8エピソードあるらしい。アメリカと、アフリカロケだというし、こんな大物俳優が出ているので、かなり超大型映画級のドラマと言われているけど、それなら一般の人に見せないのはもったいなくないか?いつかネットフリックスとか、ケーブルで見れるのかもしれない。ハリソン・フォードも、連続ドラマは滅多に出ないけれど、これだったら、と思って出演することにした、とテレビで言っていた。

 

Helen Mirren

 

こういうことで、今Yellowstoneがずいぶん流行っていて、アメリカでは社会的変化をもたらしているほど。今までは、ロスとか、NYとかシカゴとか、大都会、有名都市のドラマ/映画が多くて、そういうアメリカを象徴するような都市で撮影されたドラマや映画を見て、人々はああ、かっこいいな、ああいうところに行きたい、住みたい、と思う傾向が多かったように思う。もう少し小規模でも、シアトルとか、フィラデルフィアとか、一応みんなが知っている都市で、都会が舞台、ということがほとんどだったと思うが、近頃は、トランプ時代の影響もあるのかもしれないけど、アメリカの中部、カウボーイカントリーと呼ばれる、モンタナとか、ワイオミング、テキサス、コロラドなどにみんなの目が向いていて、流行っている。カウボーイとか、カントリーミュージックとか、広大な牧場、アメリカの大自然などが注目を浴びるようになって、人間も、場所も狭くて、疲れていて、せせこましくて、機械的で、ストレスのたまる、環境破壊の進んだ、または破壊している都会はよくなくて、都会人はせこくて、カッコだけつけてて、口ばっかりで、実際自然の中にいたら役立たず。アメリカの雄大な自然こそ真のアメリカ、これこそ豊かで幸せな人生、という見方が人気になっていて、そういう生活をしようという現象が起こっている。今までのアメリカドラマ、映画ではスポットライトが当たっていなかった、忘れられていた場所に注目が集まっている。

 

 

シーズン5前半のあらすじとしては、ジョン・ダットンはどうしても牧場を手放す気がないのだが、現代の波には勝てない。次男のジェイミーが州の財務をつかさどる役割になって、その立場を利用して、イエローストーン牧場の中の部分的な権利を開発会社に貸し出してしまった。また、その土地に飛行場と、リゾートを建設する許可を勝手に与えてしまった。しかし、ジェイミーはジェイミーなりに、牧場と父親の将来を思ってやったことだった。土地を貸し出す代わりに莫大な賃料を取った。そして、それをすべてチェックにして父親に送っていた。ジョン・ダットンはそういったことには無頓着で、ジェイミーが送ってきたチェックをろくすっぽ見なかった。が、ベスがそれを牧場の高額な固定資産税の支払いに充てたり、費用を払っていた。ジェイミーはジェイミーなりに、牧場を守って、できるだけジョンが手放さなくてもいいように考えていたのだ。ちなみに牧場は土地が広いために、1年の固定資産税が2ミリオンドルぐらいする。今の時代、牧場経営はほとんどもうからないので、ジョンたちは全く払えない。ジェイミーや、開発会社が何もしなくても、このままの状態で継続し、なんの改革もせずに放置すれば、牧場は何年も経たないうちに破産するのだ。破産すれば、州が土地を没収する。それが目に見えているのに、ジョン・ダットンは今までのやり方を変えようとはしない。か、変わることができない。

 

Jamie

 

その中でモンタナの知事が上院議員になるということで、知事の席があくことになり、ジェイミーが知事に立候補する、と言い出した。それを聞いて、ジョンとベスはすぐ阻止しなければならない、と思った。ジェイミーが知事になったら、ジョンが今まで築いたシステムや、先祖代々続いた習慣を覆そうとするだろう。モンタナを外からやってきた者たちに切り売りするだろう。なので、ジェイミーを知事にしないために、ジョンも立候補した。知事になりたかったのではない。ジョンが対抗すれば、ジェイミーが諦めて知事選を降りることを期待したのだった。

ジョンが知事に立候補した途端、前の知事は喜んで、すぐジョンを支持してしまった。ジェイミーは前知事の推薦を得られなかったのだから、断念するしかなかった。これでジョンは目的を達成することができたのだから、知事選から降りようと思ったのだが、前知事の熱意と、世論の支援がそうさせなかった。

ジョンは当選してモンタナ州の知事になった。

ジョンの公約は、モンタナを近代化から守り、100年前から続いている伝統を維持する。ニューヨーク人や、カリフォルニア人の遊び場になることを防ぐ、など、よそ者を徹底的に遮断し、昔ながらのモンタナを維持するというもの。そのために、州外の者にモンタナの土地を売らない。州外に本宅を持ち、モンタナに別荘を持つ者の住民税を増やす。州内で牧場を経営する人からは税金を取らない。州外に会社を持つものが商業を行う際の税金を、地元の事業のものより割増する、などだった。なので、それまでジェイミーがニューヨークの開発会社に与えたイエローストーンの空港や、リゾート地建設の許可はすべて取り消された。

これに対して、今までここまで来るのに何億ドルものお金を投じた開発会社や、ジェイミーが黙っているわけがない。両者は結託して、ジョンを潰そうとする。それをベスが牙を向いて、父親を守ろうとする。それに、ジョンは前知事や、州の権力者からの人望も厚いし、地元の人からのサポートも根強かった。そう簡単に負かすことはできない。

人々からのサポートという面ではジョンは力を持っているが、時代の波には勝てない。ジョンは昔からやってきた方法にこだわって、広大な牧場の土地をちょっとずつ都会人に切り売りして税金や経費を払っていく、という現代的な方法を取ることを嫌がった。ベスは財務感覚に長けているから、父親にこのビジネスモデルでは維持不可能だ、少しづつ土地を売って、足りない分を補わないと破産する、新しい、利益を生む商売を取り入れないとだめだ、とジョンに説くのだが、ジョンは土地を切り売りして土地を破壊するぐらいなら、国立公園にして、保護区にしたほうがマシだ、という。土地を破壊することは、モンタナを破壊することだと。保護区にすれば一般の住宅や、商業施設は建てられなくなる。しかし、保護区にする、ということは、ダットン家も土地を州に譲る、ということになり、土地の部分を売ってお金にする、ということもできなくなる。寄付するのと一緒だ。

 

Beth

 

しかし、破産して、没収されてしまえば、土地は州のものになるから、ジェイミーのような人が知事になったり、財務担当になったら、開発会社や、不動産会社に土地を高く売って大儲けし、イエローストーンはバラバラにされ、開発されて、今の美しい大自然はなくなるだろう。それだけはどうしても避けたい。たとえダットン家が、ジョンの世代で土地を手放すことになっても。

そして、多分それは避けられない。それは誰の目から見ても明らかだった。多分、孫のテイトに今のままのイエローストーン牧場を継がせることはできないだろう。

上の人達の具体的な思惑や、苦労は、下の者にはわからない。イエローストーン牧場で働くリップや、カウボーイたちは、今まで通り、牛や馬の集団の世話をして、カウボーイとしての生活を続けていた。しかし、ジョンは何も言わないけれど、彼らの目から見ても、カウボーイの世界が衰退していっていることは目に見えて明らかだった。リップは、ベスに、10年後この牧場がどうなってるか容易に想像がつく、と言った。リップは、牧場で主催されたBBQパーティーで踊っている人々を見て、「都市が燃えてもうすぐ崩壊するのがわかっているのに踊っている人たちのようだ。」と言った。

 

Beth and Rip

 

イエローストーン牧場は、どんどん危険な状態になっていく。それに対して、ジョンとベスはどうしようもすることができない。最後は手放すことになるのをこれから見ていくのか、何かが起こって挽回するのか。内情とは裏腹に、相変わらず風景が美しい。それにマッチングした、カウボーイ文化とファッション。それを見るだけでも見る価値はあるかも。ジョン・ダットンがこのまま維持して、守っていこうとするのもうなずける。

 

前シーズンまで人気のあったジミーは、今回は少ししか出てこない。