投資を知ろう! 保有資産3億円のシロウト投資家・神田川トウシロウです。

先日、知人のS君から保有しているトヨタ(7203)について「そろそろ売ろうと思うけど、どう思う?」と聞かれました。

トヨタは先週8日に決算発表で当期純利益が約5兆円という史上最高益を計上し、足元の業績は好調。ただし、来期は大幅減益になることとテスラや中国勢とのEV開発競争が激化しており、先行きは不透明。S君はいまがピークと見て売りを考えているようです。

私も基本的にはトヨタは売りで良いと思います。EV開発競争ももちろん大きな懸念事項ですが、それよりもAI化でものづくりが根本的に変わろうとしていることが大きいと思います。

つまり、ものづくり研究の第一人者・藤本隆宏教授によると、トヨタの強みはたくさんの非標準部品をすり合わせて全体最適化するインテグラル型のものづくり。高度な技能を持った現場の作業員なくして高度なものづくりが実現できませんでした。

ところが、AI化の発達・普及で、高度な技能がなくても簡単にものづくりができるようになりつつあります。すると、たとえトヨタが画期的なEVを開発したとしても、新興国のメーカーにすぐに模倣され、より安く作られてしまいます。この状況で、トヨタが現在の利益水準を維持するのは容易なことではありません。

ということで、長期的にはトヨタは「売り」なのですが、問題は収益水準が下がり始めるのはいつ頃からか。

過去にもビジネスモデルが陳腐化したとしても、昔の遺産でしばらく最高益を続けるという会社がよくありました。

S君には、トヨタ株ではかなり儲けているとのことなので、「焦らずしばらく持って、販売台数や業績が本格的に下がり始めてから売ればよいのでは?」とアドバイスしました。

さて、どうなりますやら。