天だけは恨んでも仕方ない・・・(いわき市 豊間地区) | そうべいのブログ

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・・・先ほど、競馬の記事を更新した直後、”我が担当ではない”Sクンから電話・・・。
「お疲れ様です。取材&撮影・・・順調ですか!?」
「順調、順調・・・チョォ~~~順調!!」
「・・・・(無言)・・・。ところで明日なんですけど、お天気が悪そう(雨のち曇り)ということで、撮影がキャンセルになったんですよね・・・。取材だけはOKなんですけど・・・。撮影は来週という事になりそうなんですよ・・・。

ガァ~~~~~ン!

悪天候の中、「スミマセェ~~~ン、撮影させてくださぁ~~~いドキドキ」・・・と、堂々といえるほどノー天気ではない、私、写真人・・・。

天だけは恨んでも仕方ない・・・(涙。
来週から撮影スケジュールが大変な事に・・・。

でっ、いわき市で最も被害が大きかった豊間地区を尋ねた。
海沿いの県道・15号を走る。福島県の太平洋側は”浜通り”と言われる地区(福島市、郡山市等は”中通り”と呼ばれる)。海岸線は遠浅で至るところにきれいな海水浴場がある・・・現在は津波で荒れてしまったが・・・。

とっ!

豊間地区に近づいたところ県道をダンプカーがふさいでいる(3月31日現在)。
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小高い丘の上を走る県道15号線・・・海のほうから流され民家に突入して止まったという。
どれくらいの津波が来たのが・・・想像するのはやさしい・・・恐ろしい・・・。

被害を逃れた県道沿いのコンビニが被災者の方々の連絡所になっていた。
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夕刻だったせいかだれもいない・・・。店の前には様々なものが置かれている。
皆、津波で流されてしまった家財道具だ。瓦礫の処理や自宅跡に家財道具を取りに行った際、他の方の家財品があれば皆さんこうして一まとめにしている。
圧倒的に多いのが家族写真や卒業アルバム。その他子供のおもちゃや位牌、学校の教科書や会社の帳簿まである・・・。
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瓦礫の町の中にもこうして道路の脇においてある。
私、写真人も幼稚園の卒業アルバムを発見!
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我が子・次男・6歳牡馬もこの春に幼稚園を卒業したばかり・・・。雨にぬれては大変なので少しはマシになるように雨よけを作る。
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これくらいの事しかできない実に無力な私、写真人・・・

町の中に入る・・・誰もいない・・・。
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いわき市は市全体が壊滅的な被害を受けたわけではないので、被災地の多くは、被害が少なかった市の中心部に住む親族や知人のところに身を寄せているという・・・。
その他、福島県内の他の市町村や他県に避難している方々も多い。もちろん避難所で暮らしている方々も数多くいる。瓦礫整理の終わった道で犬を散歩させている方がいた。
「この辺の住民は皆県外に避難した人が多いね・・・。津波で家財はすべてなくなっちゃうし・・・何より、原発事故の影響が大きいね・・・。うちは丘の上なのでほとんど被害を受けなかったので、普段通りに生活しているけど、
原発事故の心配と同居だからね・・・。言葉は乱暴だけど、うちも津波で家が流されていたらすんなり避難したのだろうけどね・・・・。”家が無事だったから大丈夫”なんて意識はあまりないね・・・。」

子供達が瓦礫の中で何やらやっている・・・。
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「キミ達、何やってるの(”オジサンは怪しい者ではないよ!”=私、写真人・・・心の叫び)」
「親戚の家に避難してるんだけど・・・。今、春休みでしょ・・・学校がないのでヒマなんだ。遊び道具を探しに自宅に戻ってきたんだ・・・。」
「キミの家は大丈夫だったの!?」
「・・・流されちゃった・・・。もう時期、学校も始まると思うから学校の勉強道具も探しに来たんだ・・・。」
・・・子供は前向きである・・・生命力が強い・・・。またしても被災者に励まされる私、写真人・・・。

海水浴場があった海を目指す。
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大変不謹慎を承知であえて言わせて頂くが、最近、すっかりニュース映像や画像で見慣れた風景・・・。
実際に目の前でこうしてみてみるとまるで実感がわかない・・・。
「スゴイッ!」とか「惨い!」とか「悲惨!」とか「悲しい!」とか・・・全く感情がわかない・・・ショックもない・・・。
ただただ、目の前の現実に向き合い機械的にカメラのシャッターを切る・・・。
映画のセットでも見ているような感じ・・・。
乱暴な表現だが、はく製の動物が並んだ動物園に来ているよう・・・・。
アフリカのサバンナで実際に生活している動物を目の前で見ると心が動かされるのだろうが・・・。
自分が日本にいる事すら忘れてしまう・・・どこか外国の映画のワンシーンでも見ているようだ・・・。
人がいない事がさらに無機質感を増幅させる・・・。

海に来た。
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海にはよく釣で来るのだが、明らかに海岸線が短くなって崩れている感じ・・・。
砂浜の砂は町に流れ込んだのだろう・・・。
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防波堤前に家・・・海の見える家・・・羨ましく思えるのだが今は・・・。
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・・・丈夫な門扉だけが横たわっている・・・。

日が暮れてきたので町を出て車に戻る。

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市会議員の方が自転車で町の見回りをしていた。
「・・・県外からお越しですか・・・。この辺は海水浴場が多いので夏は県外からのお客さんも来るんですけどね・・・今年は寂しい夏になりそうです・・・。町の様子いかがでしたか・・・。」
「何も言葉がありません・・・。行政としてはどのような活動をしていらっしゃるのですか!?」
私、写真人の首からぶら下げた手作りの取材票にちらっと目をやる市会議員さん・・・言葉を選び始めた・・・。
「我々市としても精一杯の事をやっていますよ。ただ、今回の震災の規模は想定外の事でなかなか手が回らないの現実ですね・・・。夜の町に来て見て下さい。電気もなく、瓦礫の山・・・実に不気味な町になってます。
また、最近ではほとんど人の出入りがないはずなのに、たまに自宅(津波で被害を受けた家)を訪ねてきた住民の方が言ってましたが、明らかに他人が出入りした気配があると・・・。タンス等があらされたりしているようですね・・・。治安面もこれから強化していかなくてはならないですね・・・。災害の次に犯罪があってはならないですからね・・・。」
そういうと自転車で町を見回り始めた・・・。そろそろ自警団も組織化も考えているという・・・。

またひとりトボトボ町を歩く・・・。人と会いあれこれお話を伺うと実感がわいてくる。
・・・言われてみれば不気味である。

とっ!

「お~い、お~い・・・・こっちだぁ~、こっち!電話、電話~!」
ひぇ~~~何なんだっ!私、写真人・・・明らかに怪しい者だけど、そんなに怪しくない・・・。
何かあったのか・・・そういえば・・・さっきお腹の大きい妊婦の方がフラフラ歩いてていたな・・・。
川に落ちたのかな・・・いやっ、車に引かれたのだろうか・・・信号は点灯していない・・・まさかっ!
それとも、さっきのは被災者の亡霊なのか・・・・ぎゃぁ~~~~!!

「おめぇ~だ、おめぇ~・・・悪いけんど電話持ってかっ?電話、貸してくれねぇ~か!?」
「あっ・・・でっ、でっ、電話ですか・・・。ど~ぞ、ど~ぞ・・・お安い御用です。使って下さい。
電話番号何番ですか!?」
「22の○×○×だぁ~!」
「・・・お父さん・・・市外局番何番ですか・・・携帯は市外局番が必要なんですよ・・・。」
「大丈夫だぁ~、すぐかかるから・・・。家の電話じゃ~いつもかけてるどっ!」
・・・年配の方は携帯電話の使い方がわからない方が多い。市外局番を聞いてプッシュしてあげる。
「おぉ~~~○×(女性の名前)かっ!何やってんだおめぇ~・・・ずぅ~~と待ってんど!早く来いっ!」
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お父さんは地元の方で自宅を見に来たという・・・自宅は津波で被害を受けた・・・。
いわき市内中心部に娘さん夫婦が住んでおり今はそこで家族で暮らしているという・・・。
ここまで娘さんに送ってもらい迎えに来てもらう事になっていたらしい・・・。

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「お父さん・・・地元なんですよね・・・。今までこの地区は地震や津波で大きな被害を受けた事があるんですか!?」
「おれは77歳でずぅ~とこの町に住んでいるけど、こんな災害は初めてだ。今まで何度か津波はあったが、この川を海が逆流してきて床上浸水がなんどかあった程度・・・。まさかこんな津波が来るとはな・・・。
そこにレンガの建物があるだろ・・・。コンビニだったんだけどな・・・周りの家は古い家ばかりで皆流されちまったよ・・・。」
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「良くご無事でしたね・・・。」
「俺の家は海に近かったからすぐ逃げられたのさ。海を見てみると南の方からスゴイ津波が来るのが見えてな・・・。町の裏の山に神社があって急いでそこに逃げ込んだ・・・。海かうら少し離れた所に住んでいた連中は海の様子が分からなくて逃げ遅れた人もいるらしいけどな・・・。自然はナメちゃ~いけねぇ・・・俺らは住ませてもらってるんだからな・・・。」
「・・・これからどうするおつもりですか・・・。」
「どうするかな・・・(苦笑。俺はこの歳(77歳)で十分生きてきたからなぁ・・・。壊れた家も結構古かったし・・・。ただ、若い連中は大変だ・・・まだ家を作って間のない連中も多い・・・。町が元通りになるのはむずかしいかもな・・・。でも、俺が小さい頃に比べこの町も随分と変わった・・・。また若い連中ががんばって自分達の住みよい町に変えればいいだろ・・・。津波があるまでは皆好きでこの地区に住んでた訳だしな・・・。命さえ無事ならなんでもできるだろ・・・。天だけは恨んでも仕方ないからな・・・」

被災者の方々に励まされっぱなしの私、写真人・・・

実は私、写真人のような単なる傍観者は被災者の方々に対して出来る事なんて何もないのかも知れない・・・。
写真で残してあげる事くらいの小さな事・・・。
やはりこのお父さんに対しても”がんばって下さい!”とは言えなかった・・・。
”では失礼します”と丁寧に挨拶をして別れただけだ・・・。

何もして挙げられない己の無力差を感じる私、写真人である・・・。

ニュース報道でアナウンサーのおねぇ~さん、おにぃ~さんはお仕事とはいえ被災地を訪ね・・・特に避難所を訪ね・・・あれこれ取材をしているが、私、写真人にはゼッタイに出来ない・・・。
かける言葉が見つからない・・・。
嫌味じゃ~ないけど、あれはスゴイと思う・・・そんなシーンを見るたびにアナウンサーのかわいいおねぇ~さんに励まされる私、写真人なんだけど・・・。

あっ、そういえば、NHK9時のニュースの青山(裕子)さん・・・卒業したなぁ・・・ファンだったのに・・・
毎日、ニュース報道を見て感じるのはこの程度の私、写真人である・・・。


★注意★

ここの記載されている写真と本文は関係ありません。
また、個々の発言についてもあくまでも地元個人の方々意見であり、
私、写真人の意見&いわき市民全体の意見ではないという事です。

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