地図や情報は要らない・・・(いわき市・永崎地区) | そうべいのブログ

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プライベートで国内や海外を旅行する際、ほとんど現地の地図や情報は持って行かない・・・。
そんなモンはつまらん固定観念を生み、感動のなくなる旅になる・・・。
知らない土地へ行けば行くほど、地図や情報誌の類は持って行かない・・・。
実はウチのカミサン(=神さん)の影響なんだけど・・・
「アナタ・・・A型人間丸出し!なんでも準備しなくては気が済まないのね・・・。そんなんで旅行してもつまらないじゃないっ!何があるのか分からないし、情報誌も所詮他人の情報なんだから・・・。」
・・・カミサン(=神さん)・・・B型人間丸出しである・・・


今回、いわきに行った際も地図も情報も何も持たずに行った。少なくとも初めて行く土地ではないので必要ない。
でも、迷子になって地元の方に迷惑をかけてはいけないので高速道路のSAで頂いた無料の東北広域地図のみを持って行った。必要な地理や情報は現地の方々に伺えば良い・・・。ここは海外ではない・・・日本なのだから・・・。

小名浜港から海沿いの道をとりあえず北へ目指す。小名浜の漁協の方が”小名浜から北の豊間へ行ってみると良い”という言葉のみを信じて・・・。

日本は島国。海岸線はどこも似たりよったり・・・。福島の海岸線はわが町、神奈川の西の果て西湘地区に似ていないでもない・・・。
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海が間近で津波の心配があるが結構住宅が残っている・・・。小名浜より少しマシなような???

がっ!

やはり津波は恐ろしい・・・。
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目の前が海水浴場になっている、永崎地区。今年の夏もいつものように海水浴で賑わっていたかも知れない・・・。

海岸線を走る県道15号線沿いの家・・・石で出来た立派な門扉の跡だけが残っている。
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門の奥はどのような家だったのか想像ができない。
「おじゃま致します・・・失礼します・・・」
一言声をかけ中に入る。家人もいない家財もないのだが、土地が残っている以上、立派な家である。
勝手に入っては泥棒だ・・・って、返事がないのを良い事に勝手に入るのだが・・・

どうやら石材店だったようだ。
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大人一人では動かせない大きな石がゴロゴロしている。石を加工する大きな機材や運搬のためのトラックが無残な姿になっている・・・。
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石を保管してあった倉庫だろうか・・・木造家屋のため木材の瓦礫とかす。
石材店が材木店に・・・シャレにならない・・・。
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お地蔵さんが何事もなかったかのようにアルカイックスマイルで微笑んでいる・・・。
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県道沿いの小さな集落。20軒も家が立ち並んでいるのだろうか・・・。ほとんど崩壊しているので正確な数字は分からない・・・。

震災から三週間経ったが人が歩ける程度で車は入れないぐらいまだ瓦礫が散らかっている。
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若いおにぃ~さん達二人がシャベルや一輪車を使って少しずつ瓦礫を運び出していた。
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「こんにちは。地元の方ですか!」
多分そうであろうが、念のため声をかける。
「小名浜から海沿いを来たのですけど、海が目の前のせいか結構な被害ですよね・・・。」
「うちは少し高くなっているので津波のもろ被害は避けられましたけど、2メートルくらいの高さで水が入ってきて、一階は水浸しになりましたけどね・・・。」
「海に近い地区なので大変なようですけど、この辺の方は大丈夫だったんですか!?」
「海が目の前で集落の裏が小高い山、震災のときは皆裏山に逃げて無事でした。
僕はたまたまその日は仕事が休みで家にいたんですけど、大きな揺れ(=地震)が。すぐ、NHKをつけると東北地方はどこも震度6以上。こりゃ~ヤバイッと思いましたよ。で、そのままNHKをつけていると石巻市の津波の映像が流れてきたでしょ・・・、この辺(=福島県)もえらい事になると思って、すぐ逃げる準備をしたんです。
オフクロが旅行に行っていなかったので、オヤジに携帯で連絡したんですよ。そしたら、オヤジはパチンコ屋にいて・・・(苦笑)。”家が大変な事になるぞっ、早く帰って来てくれ!”って。」
普段の生活感があふれていてその事が余計に恐怖を誘う・・・。

「オヤジは今まで今回みたいな大きな津波は経験がないのでね・・・結構余裕カマしてましたよ(苦笑)。”床上浸水になったら大変だっ!”くらいで・・・。最初に県道の岸壁からしぶきが上がる程度の津波がきて・・・”いわきはこの程度なのかな!?”・・・と思って海の沖を見てみると今まで見たこともない巨大な海の黒い壁が迫ってきましたからね・・・。もう何がなんだか分からなくて必死で裏山に逃げ込みましたよ!!」
今回の津波・・・地域にもよるが皆、津波の例えとして”巨大な黒い壁”と呼ぶ・・・想像が出来ない・・・。

「県道沿いの堤防なんて全く無意味でひと飲みですよ。そのあとバキバキ、ゴーンっていう音がして目の前の家々を崩しながら海の壁が迫ってきましたからね・・・。一瞬、何が起こったのかわからなくなりましたよ・・・。」

・・・恐ろしい・・・ラジオである解説者が”今回の津波は津波というより大洪水に近い”と言ってたが・・・。

「津波はそのあと、連続で3回くらいかな・・・来ましたよ。家の前に停めてあった車が、来る波、引く波で渦をまいて家の庭でクルクル回ってましたからね・・・。”ウソだろぉ~”って感じですよ・・・」
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幸い、庭に植えてあった松の木にひっかかり車は難を逃れた・・・。
「先週、エンジンかけたんですよ。ちゃんとかかってくれたんで・・・(笑顔)。ちょとキズが付いただけで無事だったので安心しましたけどね・・・。ただ、エンジンルームにゴミや木のカスが入り込んでいてエンジンをかけっぱなしにすると焦げ臭いにおいがするんですよね・・・。車屋に聞いたら”エンジンは大丈夫だけど不純物が入り込んでいるのでエンジンはかけないほうが良い。何かに発火して火事になるぞっ”って言われたんでそのままですけどね・・・。」

そういえば県道に抜ける私道にはまだ瓦礫がたくさん残っている。
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「車は大丈夫でも道はこの通り。どっちにせよ動かせませんよ(汗)。うちらみたいな小さな集落だと自衛隊も通りすぎるだけで救助に来てくれませんからね・・・。」
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話をしている最中、重機車と自衛隊の車は止まることなく通り過ぎた。
「市に話をしても”もうちょっと待ってくれ”の一点張りで全く何もしてくれない・・・。仕方ないのでこうし
て自分達で少しずつ瓦礫をかたずけているんですよ・・・。年寄りや女性は力的に無理ですから・・・。我々二人で少しづつ重たいものから移動してるんです。石材店の瓦礫は大きな石が多いので僕らでも無理ですけど・・・。」

そういえば県道沿いにはきれいに瓦礫が並んでいる。
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これらはすべて地元住民が出した瓦礫である。
「瓦礫ももう置き場がないので、取りに来て欲しいって市に連絡したんですよ・・・。そしたら”ちゃんと分別して出してください”って言われて・・・(苦笑)。近所のおばちゃんが”ふざけるなっ、こんな時期に!”って市役所まで詰め寄ったみたいで・・・。・・・来週・・・今日なんですけど・・・”取りに伺います”・・・って言いながら・・・今日は来そうもないですね・・・。」
市も大変なのだろう・・・。市を責める事も出来ない気がする・・・。ただ、この地区は全く手付かずになっている。
こうした小さな集落はカンゼンに救済から置いてけぼりの状態・・・ほったらかしである!!!

「この辺の方は皆さんどこに避難してるんですか!?」
「皆、親戚や知り合いが同じいわき市内にいるのでそこで世話になってますよ・・・。僕は友人宅に居候してます・・・。生活には困ってないんですけど、やはり地元に帰って生活したいんですよね・・・。でも、この分じゃ~当分無理かも・・・。地元の小さな会社に勤めているんですけど、震災の翌週からは普通に会社が始まりましたからね・・・。会社内でこのような被害にあったのは僕だけ・・・。上司は一ヶ月くらい休んでも大丈夫って言ってくれてるんですけど、とてもじゃないけど一ヶ月じゃこの私道の瓦礫をかたずけるのが精一杯で・・・。」

「・・・あのぉ~・・・失礼な質問で恐縮なんですけど・・・やはりこの海の見える家が良いですか・・・。津波の恐怖はないですか・・・。」
「僕らはもともと海のそばで生まれ育ちましたからね・・・。海の恐怖が全くないといったらうそになる・・・。
でも、やはり生まれ育った我が家が一番ですね・・・。」
・・・つまらない質問をしてしまった事に後悔する私、写真人・・・(涙。落ち込んでいると・・・
「でも、やはり原発事故の恐怖ですかね!?年寄りは昔から原発建設には反対してきてそれでも原発は出来てしまった訳で・・・。こんな事故が起こって言葉は悪いけど諦めてる感がありますね・・・。”やはりこうなったか・・・”みたいな・・・。でも、生まれた時から原発があった若い僕らは不安ですよ。最近は友人と飲みに言っても原発事故の話は良くしますもん・・・。前はそんな話、したこともなかったのに・・・。地元が好きな友人が多いので誰も避難はしてませんね・・・。僕の場合は今避難したら家がめちゃくちゃのままで逃げ出す事になるので避難できないですけど・・・。」

震災だけでなく、予期せぬ不安とも背中合わせの生活・・・。大変であろう・・・。あまりにも大変なので”がんばって下さい”なんて言葉は何も意味をなさないように思えてしまう・・・だから正直に言う。
「これからがもっと大変だと思いますよ・・・生活も・・・仕事も・・・将来も含めて・・・。私の身内も宮城の南三陸町で全員、被災にあってますからね・・・。でも、私は部外者の立場なのでかける言葉がないですが、こんな私でも何か役に立つことがあれば言ってくださいよ・・・。」
「・・・カメラマンの方なんですよね・・・。それなら豊間に行ってみてください。この辺とはくらべものにならないくらいスゴイ事になってますから・・・南三陸町みたいになってますよ。僕らは被害者が出ず良かったと思います。大変だけど皆で力を合わせてやっていくしかないですもん・・・。自分の町だから他人を頼っても仕方ないですらね・・・自分達で出来る事はじゃんじゃんやっていかないと・・・。」
また被災者の方々に励まされる思いをした何とも頼りない私、写真人・・・

また豊間という地名が出てきた・・・。この永崎地区から車で20分ほどだという・・・。

う~~ん・・・気になる豊間・・・。日が暮れる前に何とか行かねば・・・!

てっ!

今こうしてブログを書いているのだがもうこんな時間(夜中の1時半)!
これじゃ~明日の競馬もロクな事がなさそうな・・・。
そういえば土曜日はあまり写真が撮れなかったなぁ・・・。
明日は写真も馬券も気合を入れねばっ・・・寝るとするかzzzzzz



★注意★

ここの記載されている写真と本文は関係ありません。
また、個々の発言についてもあくまでも地元個人の方々意見であり、
私、写真人の意見&いわき市民全体の意見ではないという事です。

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