2013年1月27日 | 神田松之丞ブログ

神田松之丞ブログ

毎月のスケジュールと、演目などを更新していきます。

また、自主興行のテーマなども書いていきます。

映画「苦役列車」を観る。原作も読んだけど。

主人公がコンプレックスまみれ。しかも悪性のこじらせ方の時期を描いている。

某兄さんに凄く似てるんだけど、兄さんは現在良性のこじらせ方だから一見わからない。凄く繊細でありながら、ふとした時にヤクザみたいな所もある。それを笑いにくるんで落語に昇華しているという。

一点のコンプレックスで行動様式がすべて規制されていて、でも本当はそうしたくないけど、そうせざるえないから、頭がおかしくなりそうになる感じ。

多少ボカして書くと何の事か分からなくなるね。

でも大体そういうのって芸に出る。芸は嘘をつかない。

芸を見るポイントが、どこにこの人はコンプレックスを持っているかを見ると発見がある。嫌な見方だけど。


さぁ、今日は一音寺さんで演芸会。柳好師匠と私で一席ずつ。

とても品があり、よく聞いて頂けるお客様。

私は「山田真龍軒」と「谷風情相撲」 短く合わせて30分。

師匠は「尻餅」 30分


帰りに、柳好師匠に色々ご馳走になる。色々なお話を聞けて凄く嬉しい。私は先輩の話を聞くのが凄く好き。

後輩というだけで、先輩の思いとか経験を聞けるのは至福。

柳好師匠に限らず、そこには表には出てこない話だったり、仲間内しか知らない許容の中にいる時に、芸人になって良かったと思う。知りたくないことも沢山あるけど。

色々な方に話を伺う事で、物事が立体化して見えてくる。人間って単純だったり複雑だったりで面白いなって。

つくづく落語家を生業として何十年も生きてきたって、とんでもなく魅力的にうつる。これは色物の先生方も同じ。

諸先輩に対して、この一点でもって全員に敬意をもっている。

こういうのって、前座のうちはあんまり気がつかなかったなぁ。