第5回グズグズ寺が終わりました。お越し頂いたお客様ありがとうございました。
また、足こそは運ばなかったものの少しだけ行こうか迷った人、ありがとうございました。
その迷い、嫌いじゃないです。
未来永劫くる気がない人、それでいいと思います。
でですね、改めて最初から最後まで自分の高座以外を前から見てて思ったのは、この会は非常に特殊な会であるという。こんな会ないですよ。何あの空気感。
どういう空気感かというと、何が面白くて何が面白くないのかマヒするという。
シャブを吸っているような笑いになるという。禁断の笑いというか。手を出してはいけない、エンドルフィンが落語会に出ているという。
それでえらいもんでまとまってきてて、色々なゲストにお越し頂いてたりするんですが、何だかんだで今のレギュラー5人が集まった時のチームプレイが、一番脳内麻薬が出るという。
何が面白い事で、何が面白くないことかの基準がまずブレだすという。裏笑いも、これ裏じゃないんじゃないかという感じになるという。それでいて内輪感ともまた違い、ネタ下ろしだから緊張感もあり、意外にみんな意識は高いから、何か独特という。
今回のグズグズ寺を振りかえります。
昇也「六尺棒」
一門のまくらでお客様をあたためて、良い感じに。普通の落語会が始まる感じに。
夢七「夢七江戸噺~何か寺と神社の噺~」
ここらへんからお客様も脳内麻薬が。何が面白くて、何が面白くないのか分からなくなる。まくらが相変わらず、ナックルみたいなの投げてくる。
グズグズ寺の常連のお客様は名キャッチャーが多いので、ストライク扱いになってるけど、一般的には暴投で大事故でしょう。
とはいえ今回本編はハネなくて、最後なんかダジャレ的な(地口)サゲを言ったあとに
「ありがとうございました」
と言う所でお客様から笑いが。
火あぶりから島流しに減刑された時に、奉行に対して言うくらいの「ありがとうございました」だった。心がこもってたね。礼儀正しい子なんだなと。
松之丞「ボロ忠」
まぁ、良くも悪くもこんな感じ。
ー仲入りー
柳若「代脈」
単純に技術と工夫が凄い。いつも感心して見てしまう。落語って改めて面白いなぁと思った。柳若さんがまくらで「松之丞兄さんのブログ、小笑兄さんと夢七君の事はいっぱい書いてあるのに、俺は2行ですよ」と言ってたな。そんな事言われてもなぁ。だから今日は4行にしたよ。
小笑「反対俥」
まくらで、アメリカンジョークをやってた。もう、ど真ん中のアジア顔がいいんだよなぁ。
「なぁ、ジョン」「何だいピーター」とか上下ふってるだけで脳内麻薬出るよ。オチもいい感じにつまらないのがまた面白いんだよなぁ。絶妙なつまらなさなんだよね。あれ以上面白いと違うし、あれ以下でも違うから、凄い良い温度。本人が意識してるかともかく。意識してたらイヤラシイけど、意識してないように見せる天才なんだよ。それで、本当に意識してないという。
で、「反対俥」面白かったなぁ。
スピード感なかったなぁ。終始、俥が止まっているように見えたよ。
これ、雷太兄さんがみたら何て言うんだろうな。でも、よーく見るとミクロの世界で少ーしだけ身体を前後に動かして、動いている感じを出している風にみせいるのが面白かったわ。何その努力。
あとこれみんな指摘したとこだけど、かじ棒上げて両手を広げてうわぁーというくだり。フリを忘れているから、発狂したのかと思ったわ。
あと、駕籠屋の早いタイプの奴も全然遅いから。本当にそういうの出来ないのがいいわ。
いずれやるであろう「長短」とかも、気の長い奴と、気が凄く長い奴の改作になるだろうな。
もう何か「反対俥」という噺の魅力をそぎ落として、そぎ落として、相変わらず噺を自分に合わしていくと感じが素敵でした。
あと、ピョンピョン跳ねない演出は意識的に兄さんがやってる事だから、それはスルー。
昇也「長命」
普通に面白い。小笑兄さんの後だと、リズム、メロディー、ハーモニーがこうも違うかと思った。
何か素敵な高座でした。見事なトリ。全編昇太師匠のくすぐりでありながら、(後で本人に聞いたら)昇也君のオリジナルに感じるのが凄い。
打ち上げにて、小笑兄さんの葬儀は鳥葬という事に。すげぇ汚い不細工な鳥に喰わせようということで、幕。
そういうわけで、またのご来場をお待ちしております。