夏の忘れ物。 | プールサイドの人魚姫

プールサイドの人魚姫

うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。

 

 

 この風景写真は約3年前、一眼レフのNikon D700からD810へアップグレードして間もない頃に撮影したもの。場所は竹芝桟橋、この日は東海汽船の大型客船を撮るため客船が伊豆諸島から帰港するのを待っているところだった。左の方角に視線を投げると、何やら空がピカピカと光っていた。最初は花火かとも思ったが、直ぐにそれが稲光だと分かった。
 当時は新型コロナの第1波が拡大し始めていた時期で一日100人の感染者で世間が大騒ぎっし、最初の緊急事態宣言が発せられていたと記憶している。その影響で隅田川の花火大会は中止となったが、時と場所を公開せずゲリラ敵に打ち上げを実施していた。かなりの頻度で稲妻が空を駆け巡り、発達した積乱雲も見て取れたので、これはチャンスと思いカメラを向けた。多分、隅田川の上流スカイツリーのある辺りで盛んに光っていたものと思われる。
 撮り始めは光る度にシャッターを切っていたが、それでは埒が明かず稲妻の速さに全くピントが合わなかったため連射モードに切り替え、シャッターを切り捲った。数分の間に200枚ほど撮影したと思うが、その中の1枚にこの決定的瞬間が写っていた。自然現象を被写体として撮影するには気象条件、時間、そしてよほど運が良くないと撮れない。狙ったからといって思い通りの写真となるかは、根気と時の運を天秤に掛けるようなものである。
 この時、狙いを定めた通りにピントが合い、右から左方向に走る稲光をカメラが捉えた。それは瞬きよりも早い一瞬の出来事で、私は肉眼では見る事が出来なかった。このような決定的な写真は今後、そう何度も撮れるものではないだろう。200枚の内199枚は失敗だったが、この1枚が撮れたお陰で私は至上の達成感を味わう事が出来たのである。
 自然の猛威と言えば、トルコ・シリアの巨大地震で4万人をはるかに超える犠牲者が出ており、胸が痛くなる。一刻も早い救出と復興が進み平穏な日々を取り戻す事を心から願うばかりである。この地震で亡くなられた方々のご冥福をこの場を借りてお祈り申し上げます。