日本国内では実に約70年ぶりとなるデング熱の感染が巷を騒がせている。厚労省発表によると、現時点での感染者は115人となり、今後更に感染者は増えるものと思われる。国内感染は、東京、埼玉、新潟、千葉、大阪、山梨、青森、愛媛、高知など全国に拡大しつつある。患者の殆どは代々木公園やその周辺を訪れていた時に感染したようだ。
既にご存知のようにデング熱は『蚊』を媒介として感染して行く。おそらく最初の感染者は国外でウイルスを持った蚊に刺され、そのまま帰国したのではないだろうか。何れにせよ、蚊が大量に発生するような場所は避け、蚊に刺されない事が唯一の予防法である。
さて、海外に眼を向けて見るともう一つのウイルスが猛威を奮っている。西アフリカを中心として感染が拡がるエボラ出血熱であるが、感染防止のため大統領命令で「握手禁止」と言う非常事態にまで陥っている模様。
2013年12月、ギニアから始まったエボラ出血熱の感染は留まる事を知らず、今年の4月に爆発的感染が確認される事となる。その後8月、WHO(世界保健機構)が「非常事態」を宣言。感染拡大を防ぐため、各国政府、NGOなど国連機関と連携し支援活動を行っているが、感染収束の見通しはいまだ立っていない。
医療現場からの報告によれば、支援に当たっている医療従事者の感染も増え始めており、機能停止に陥る病院も多いと言う。一旦は治まったかに見えた流行が数週間後には再び拡大し始め、現場を逃げ出す医療従事者も続出しているらしい。
おそらくその現場は眼に見えな敵との戦闘状態にあるのだろう。主要病院が次々と閉鎖に追い込まれ、地元の医療は尽く崩壊して行く。まさにウイルスの絨毯爆撃にでも晒されているかのように…。
エボラ出血熱の感染者数がこのまま推移して行くとなれば、おそらく2万人を遥かに超える事態になるのは時間の問題であり、日本から遠く離れた最果ての地で起こっているウイルス騒動がデング熱に飛び火する日が来るかも知れない。
地球温暖化によってその生息分布が大幅に拡大された小動物や昆虫などが齎す新たな恐怖、それが「熱帯ウイルス」だ。致死率50%と言われるエボラに比べればデングは遥かに安全かも知れないが、その安全と言う麻薬的な言葉に騙されてはいけない。
自分は大丈夫と言う「驕り高ぶる」態度や言動こそが人の心を蝕む最大のウイルスかも知れない。病気に対し謙虚な姿勢で臨む事、これが最良の予防策ではないだろうか。