ウィンブルドンの風になれ。 | プールサイドの人魚姫

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うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。


プールサイドの人魚姫-テニス

 日本人テニスプレーヤーがこのウィンブルドン選手権を制覇するのは至難の業であるが、グランドスラム4大会中最も古い歴史を持ち、唯一芝生のコートで行われる伝統と格式に培われた名誉あるこの大会にその名を刻み込む事は出来る。

 NHKの深夜に放映されているウィンブルドン2011だが、初出場の土居美咲は健闘及ばずベスト16を惜しくも逃し日本勢は全て姿を消した。

 以前『テニスの女王シャラポワのため息』と言う記事タイトルでテニスについて綴った記憶があるが、そのシャラポワは順調に勝ち進み、2004年の再来を思わせる試合ぶりである。

 2011を制する覇者が誰になるかは別にして、40歳にして現役、強靭な肉体と精神力を兼ね備えているクルム伊達公子は世界のテニスプレーヤーの模範と言ってもよいだろう。

 テニスに限らず、肉体を駆使するスポーツは寿命が短い。相撲やボクシング等の格闘技に至っては、30歳を超えれば体力の衰えを隠し切れず、引退の文字が脳裏を掠める事が多くなる。

 クルム伊達も1996年に現役を引退したが、その12年後に現役復帰を宣言。『若い選手に刺激を与えるため』というプロ復帰時の彼女の言葉を覚えている人も多いのではないだろうか。

 この大会では女子シングルスの初戦で15年ぶりの勝利を挙げ、超人クルム伊達の健在ぶりを世界に示した。

 2回戦では元世界ランキング1位のビーナス・ウィリアムズと約3時間に亘る激闘を繰り広げ惜しくも敗れはしたものの、彼女のパワーに元王者も舌を巻くほどであった。

 外国人選手から見れば日本の選手は小柄であり、さほど脅威にはならないかも知れないが内に秘める日本人特有の粘りと精神力は、これからのウインブルドンを見据えた時に世界のプレーヤーを悩ませる存在になることは間違いなさそうである。

 その意味で40歳という年齢を物ともせず果敢に挑戦し続ける彼女の姿は、全てのスポーツに於ける原点とも言うべき存在ではないだろうか。

 もちろん、彼女自身を維持し続けるその裏にはわたしたちの想像を遥かに超える過酷なトレーニングがある。

 驚愕的なプレーに裏打ちされた激しい筋トレや、スピード維持のためのインターバルトレーニングなど、持久力アップに欠かせないマラソンも取り入れていたようだ。

練習を惜しむことなく、今もなお進化し続ける『クルム伊達』のテニス論を人生の礎として取り入れてみれば、ウインブルドンの風が心地よく心の中を吹き抜けて行く事だろう。