最強は二人いらない。 | プールサイドの人魚姫

プールサイドの人魚姫

うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。


「最強は二人いらない」亀田興毅もポンサクレックもそう思いながらリングに上ったことだろう。

リングアナを務めた俳優・市原隼人や元チャンピオンの内藤大助が見つめるリング上で、今年最も注目を集めるWBC世界フライ級タイトルマッチが東京・有明コロシアムで行われたが、結果は亀田興毅の判定負けに終わった。

試合は終始暫定王者のポンサクレックペース。

亀田興毅は最終ラウンドまで自分のボクシングをさせてもらえず、百戦錬磨のポンサクレックに振り回された。

正規チャンプ対暫定チャンプという、事実上の世界フライ級最強王者を決める試合だっただけに、両陣営のこの試合にかける意気込みも相当なものだったと思う。

万全の対策を施し想像を超えるハードな練習を積み重ねて来たに違いない。

その練習の結果が試合にどのように反映したか。試合を観戦した皆さんにはどのように映っただろうか。

亀田興毅は王者のプライドを捨てて、挑戦者の気持ちでこの試合に臨んだと思われるが、その意気込みが果たして試合内容に反映されていただろうか。

もちろん、相手はこれまで亀田選手が対戦して来たボクサーとは格が違いすぎる事を亀田自身も分かっていたはず。

彼自身の口から「ポンサクレック」を倒して初めてチャンピオンベルトを堂々と巻く事かが出来ると言っているように、彼にとってみればボクシング史上、絶対に倒さなければならない相手であることは彼自身が一番よく知っている。

ポンサレックを打倒する事が亀田に課せられた試練でもあったように、遠回りはしたけれどもその試合が漸く実現したわけであるが、彼が想像していた以上にポンサクレックは強かったと言うことだったのであろう。

ポンサクレックの対戦成績と年齢のみを捉えてみれば、上り調子のボクサーではない事は明らかであるが、それでもなお、若き王者の亀田でさえ、太刀打ち出来なかった結果に、ポンサレックというボクサーの偉大さが際立った試合ではなかったのではないだろうか。

今回、亀田興毅が負けた要因の一つに「慎重過ぎた試合運び」が上げられる。

TBSに担ぎ上げられていた時代はとうに過ぎ、実力だけが自分の味方である。

自分のパンチ一発で相手をマットに静める自信があるのなら、防御や小細工など不要。

初心に帰り、チャンプのプライドなど捨て去って体当たりで相手に立ち向かう闘争心が欠けていたように見えた。

彼の持ち味はスピードと連打であるが、それが影を潜め、相手のリズムに合わせ過ぎた結果が勝負の分かれ道となった。

一度は負けなければ、更にその先にある栄光を掴むことは難しい。

これを機に更に進化した亀田興毅のボクシングを今後も見続けて行きたいものである。