妄想男の敵討ち。 | プールサイドの人魚姫

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うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。

プールサイドの人魚姫-妄想

先月18日の事件発覚から一ヶ月が過ぎた「元厚生事務次官宅連続襲撃事件」は、小泉容疑者の口から聞き出した供述がほぼ出尽くした感があるものの、いまだ事件の解明には至っていない。

事件発生当初、各新聞社、マスコミはこの事件を「テロ」とまくしたて一斉に報道したが、これは「年金テロ」という言葉を生み出す結果となった。

社会保険庁の「年金不祥事」に対し、多くの国民が不満を募らせ、怒りを爆発させていたという一連の流れがあり、それをマスコミがテロと結び付け報道したのだろうが、犯人像の憶測だけでこのような社会的不安を扇動するような記事を流すのは、言論の自由といえどもそれが場合によっては人を傷つける「言葉のテロ」だということを認識して置くべきだろう。

事件は小泉容疑者が自ら出頭したことにより、捜査も比較的短時間で終わり解決するだろうと思われたが、その後、彼の供述に取り調べ官は振り回される結果となったことは言うまでもない。

小泉容疑者が一貫して主張し続ける「飼い犬の仇(あだ)討ち」。

これが事件を起こす動機として結びつけるにはあまりにも理不尽。捜査官も世相も納得のいく動機付けを待っているのだが、被害妄想にとりつかれた者の心は病んでいる。

病んだ者の心は常識の範囲で語ることは出来ないし、その奥底に潜む闇を探る作業はセラピストでさえ手をやくものだ。

事件の真相よりも無職の彼がどのように収入を得ていたのかに興味を示した人が多かった。

無職とは実に都合のよい言葉であり、人によっては無職が職業と言う場合もある。

大きな声で言えないような内容の仕事ならば、とりあえず無職でやり過ごすことが出来るからだ。

不景気が蔓延するこの時代には無職の中に紛れ込み、自分の存在を消そうとする人さえいる。

病んだ現代が産み落とした動機のない事件と呼んでみた方が、この事件は解決するのではないだろうかと思えてしまうほどだ。

小泉容疑者の精神鑑定が始まろうとしているが、専門家にも理解出来ない闇を抱えた人間が、おそらく同様の事件を引き起こす可能性が0ではないことを示唆しておく。

PS:サンドウィッチマンから苦情が届きそう。