神様からの贈り物。(楽天イーグルスVIP席チケット) | プールサイドの人魚姫

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うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。


楽天イーグルスの5階VIP席チケット2枚を偶然手にしたのが、7月15日のことだった。
しかし、わざわざその為に仙台まで足を運ぶほどの熱狂的な楽天イーグルス、千葉ロッテマリーンズの
ファンではなかった。
しかし、一生の内にこのようなチケットなど手に入れる機会などないだろうと思ってみると、野球ファンから見れば、喉から手が出るほど手に入れたいチケットなんだろう。
わたしたち家族がこのまま持っていても、宝の持ち腐れになってしまうような気がしていた。
しかし、わたしの周りには楽天ファンがいない。
誰かに譲るにしても心あたりがなく、迷っていた。
8月30日、時計は午前9時を少し回っていた。
東京駅での待ち合わせ場所と言えば「銀の鈴」。しかし、初めて東京駅を下りる人間にとって見れば、銀の鈴だろうと、駅の改札口だろうと関係なかったと思う。
わたしにとっては退院後、初めての長時間外出。しかも一泊二日の仙台までの小さな旅である。
しかしこの仙台行きは大きな意味を持っていた。彼にして見れば、別に仙台まで行く必要はなかった。
わたしに会えればそれでよかったのである。
彼とは・・・もうひとりのわたしの息子。
27年前、2歳をもう少しで迎える息子を残して上京した。
生きてさえいれば、いつか再び会える日がくるだろうと思いつつ、過去を振り返りながら過ごしてきた27年間。
29歳に成長した息子の顔は全く分からない。
「目印に父さんの本「天国の地図」を持って行くから」と言っていた息子。
銀の鈴は朝から大勢の人たちで溢れかえっていた。みなそれぞれ誰かと待ち合わせをしているのだろう。
人ごみをの中を凝視しながら、息子らしき人物を探して回った。
「いない・・・、まだ時間が早いから来ていないのか、それとも迷ってしまったか」と思い始めていたとき、わたしの目の前に一際輝いた青年。運命を感じた瞬間だった。
顔は分からずともそれが息子であることを確信したわたしは、彼に近づいた。
本など目に入らなかった。
「父さんですか・・・」
わたしは「うん」と頷く。
彼の目が真っ赤に染まり、涙で潤んでいた。
27年目の親子の再会。逞しく好青年に成長した息子ではあるが、わたし以上に想像を絶するような苦労を重ねてきた。
しかし、その表情は晴れやかで清清しく、わたしの方が恥ずかしくて隠れてしまいたいほどだった。
父親として何ひとつしてやれなかったし息子には謝罪するしかなかったが、心優しい大人に成長した姿を見て、そしてわたしの中に在ったひとつの気掛かりが神様からの贈り物によって、達成されたのである。
ところで楽天イーグルスVS千葉ロッテの試合は打撃戦となり、非常にゲームとしては面白い内容だった。
10回延長までもつれ込み、結果的に楽天イーグルスが8対6で逆転負けであったが、これぞプロの野球という場面を幾つも見せてくれたので、充分満足出来た。
デジカメ撮影のため、画質が悪く申し訳ないが、わたしと息子の音声も入っているので、VIP席からの野球風景を楽しんで頂ければと思います。